第43話 性癖『メガネ』
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前の席の友達との待ち合わせ場所。
登校前のいつもの時間、いつもの曲がり角、いつもの少女。
でもちょっとだけ違った。
「おー、メガネ」
いつもはコンタクトっていうのは知っていたけど、メガネ姿は初めて見た。
黒髪ロングの美少女がかけてるのは良い、凄く良い、とても良い。
私の少ない癖に刺さりすぎてり。
スマホを取り出して、最高画質にして、連写モードにして。
カシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャ
「撮りすぎ、撮りすぎだから」
週刊誌の記者にパパラッチされる芸能人みたいに顔を隠してる。
その恥ずかしそうにしてるのもポイント高いよ!
「なんで今日はメガネなの?」
カシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャ
「実は使い捨てコンタクトを間違って別のを買っちゃって」
カシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャ
「交換品が今日の夕方届くんだけど」
カシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャ
「間に合わなくって」
カシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャ
「撮りすぎよ!!」
カシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャ
「今の私は止まらないよ?」
こんなステキな素材を目の前にして大人しくなんて出来ない。
長身黒髪ロングの美少女の眼鏡とか、定番だけどめったにないんだもの。
レアだよ超レアだよ。
256GBのスマホ容量をいっぱいにしてやる。
「妥協案を提案するわ」
「へ?」
いまだに連写をやめない私に、すっと手首を出してくる友達。
そこには髪ゴムが2つ。
「していいから」
「へ?」
「三つ編みにしていいから」
構えていたスマホをすっと下ろした。
なんて言った?
「貴方がどんなのが好きかなんて百も承知よ。
メガネには三つ編みが良いんでしょ?」
無言でたくさん頷く。
「ついでに学校に着くまで敬語で話してあげるわ」
「!?」
メガネ、三つ編み、優等生の言葉遣い。
なにそのお得全盛りセット。
「でも写真はもうダメですよ?
恥ずかしくて困ります」
膨れ顔で話しかけてくる姿は、まさに後輩そのもの。
具体的に言うと図書委員の副委員長。
もしくは生徒会書記。
本当は怒りたいけど先輩には何も言えない演技が完璧だ。
良い、これは良い。
時間がもったいない、はやく三つ編みにして一秒でも長く楽しまなければ。
「あんたと友達になれて本当に良かったと思う!」
「今そういうこと言いのは、さすがに引いてますよ?」
-次回予告-
からあげ誘拐
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