第40話 人間が超えてはならない倫理の壁
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「ちょっとトイレ」
休み時間に前の席の友達と話していた私は、行っておかなきゃと席を立とうとした。
急がないと時間がない。
「私も行っておこうかな」
「来るな」
食い気味に答えた私は、立ち上がりかけた友達の肩を上から押さえつける。
お前はこの休み時間に立つことすら許さん。
「トイレだけは一緒に行くつもりはない」
「いや、さすがに私もそっちの性癖はないわ。
純粋にトイレしたいだけよ」
ええ、それは嘘のない真実でしょう。
ただね。
「出会った頃は他人の体臭が苦手っていってたよね?」
「そうだったかしら。
確かに匂いには敏感な方ね」
迷惑を掛けたら悪いなってデオドラントに気を使った時期もあったさ。
無駄だったけども。
「今は定期的に嗅ぎに来てるわよね」
「黙秘で」
「バレてないわけないでしょ!」
ズビシズビシと指先を友達の額にめり込ませる。
トイレ周りだけは人間として興味持ったらダメだ。
「あんたの新しい扉は鍵が掛かってなくてガバガバなのを自覚なさい!」
自動ドアかよってくらいウェルカムオープンしてるでしょうが、まったくもう。
防犯意識高めて扉の出入り厳しくしてよ。
「私が新しいことに挑戦しようと思うのは、君にだけだよ」
すごいイケ顔で言ってるけど、全然嬉しくない。
ああ、もういいや、さっさと行って――。
私が席を立つと、友達がウインクをしてきた。
にやりと口角を上げながら。
同時にスピーカーから流れるチャイムの音。
は、はかったな。
「さて、これから1時間、我慢して震える貴方を楽しむわ」
-次回予告-
シスコン
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