第38話 意外と初めてのデート⑤ 電動マッサージ機、略してデン……
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駅前からお散歩距離にある川沿いの緑道公園。
さっき変な映画を見させられたから、手を繋いでやらず少し不機嫌顔で並んで歩く。
「いい映画だったね」
特にあのシーンのあのところがとか言ってるけど、大体エロの感想じゃないか。
「衝撃的すぎてあまり覚えてない」
「ほら、裸の彼女を後ろから抱きしめながら胸を責めるシーンなんて……」
「振り返らんでいい」
「なるほど、貴方は責めるほうが好きと」
スマホを取り出して何かを打ち込んでるんだけど、ちょっとそのメモみせてほしい。
私の個人情報が満載で、しかも大体間違ってそうなんだけど。
「で、買い物ってここなの?」
友達が足を止めたのは激安の殿堂のお店。
前に来たいとは言っていたけども。
「今日は変なもの買わないから安心して」
「今日は?」
「今日は」
「……そう」
やたらと大人びて見える服装なのは18禁暖簾の向こうに行くためかと思った。
いつもは行ってんだろうなあ。
「あー涼し」
歩いていると汗ばむ気候だったので、ゆるく冷房のかかった店内が心地いい。
私もなくなりそうなコスメ買おうかな。
友達と歩いていると健康器具コーナーに置かれているものにふと気が付いた。
990円と安くて肩こりな私に向いてそう。
「これいいな」
「ふぁ!?」
その商品を手に取ると、とんでもないものを見てしまったと、友達が周りをキョロキョロしだした。
周りに聞かれては困るのか、耳元でこしょこしょ話しかけてくる。
「え?貴方そういうの使うの?」
「いつもはお風呂上りに手でしてるんだけど」
「……手で」
「物足りなくてさ」
「……物足りない」
なぜ友達は神妙な顔で頷いてるんだろう。
しかも復唱しながら噛みしめるように。
「肩こりひどくてさ、このえーと、電動マッサージ機?
なんて呼んだら良いんだろ、デン――」
「この商品を略してはいけない」
食い気味に止められた。
なぜだ。
「だって長い名前だし、略すとデン――」
「本当にそれ以上はいけない」
今日一番でイケ顔のイケボなのはなぜなんだ。
「肩こりが酷いのね。
驚いたじゃない」
やれやれ顔で私からマッサージ器を取り上げて棚に片付けて、代わりにストレッチポールを渡してきた。
「肩こりならこういうのでストレッチするほうが効果あるわよ」
「へえー、詳しいんだね。
肩こらないのに」
視線を顔から少し下にずらした。
うーん、壁。
「ええ、おかげさまでね」
映画館でのお返しにわざと地雷を踏んだんだけど、見事に爆発したみたいでなにより。
このくらいのお返しなら許されるはず。
「でもあんたのお勧めなら間違いないよね、これにする」
スタイルの良さとそれを維持する努力を見ていて、美容系は私よりずっと詳しい。
その友達が言うなら信じれる。
「でも安いしマッサージ器もやっぱり」
「それはいらないから!
別目的で買うやつだから!」
-次回予告-
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