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第36話 意外と初めてのデート③ 300円のための恋人ごっこ

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「あ、私たちカップルです」


姉妹と間違われた映画のチケット売り場で、前の席の友達が片手を上げて店員さんに宣言した。

待て、そこまでは許してないぞ。

文句言いたげな私に上を見ろと頭上の値段表を指さす友達。

う、確かにカップル割の方が安い。


「そ、そうなんですー」


証拠とばかりに繋いだままの手を見せた。

これだけで300円浮くと思えば。

そんな私たちに店員のお姉さんは、どこかニヤニヤしながらチケットをくれた。

納得がいかずに【カップル割】と大きく書かれたそれを睨む。


今度はポップコーン売り場に並んだ私たちだけど、まだ手を離してくれない友達。

売店でカップル割はないでしょ。

あと、本当に私たちがカップルに見えると勘違いしてるなら、この後の予定を眼科に変更するぞ。

……いや、脳神経外科?


「フレーバーはキャラメル?ソルト?」


私の考えなんてどこ吹く風で聞いてくる。

リードされてるみたいでなんというか。


「私はソルトにするけど」

「キャラメルがいい」

「ならハーフにしよっか」


ドリンクセットを受け取ると、また手を差し出してきた。

どうやら恋人繋ぎにハマったらしい。


「今日の色は白?水色?」


会話の途中でサラッと聞いてくるけど、なんで上下の色違うの知ってんだよ。

なんで両方当ててんだよ。


友達の手を取りながらスクリーンに向かうと、そこでもまた頭が痛くなる。

カップルチケット専用の座席はちっちゃいソファみたいで、女の子ふたりでも並んで座ると肩がふれあいそう。


「ここってもう少ししたら薄暗くなるわよね」


そうだねと友達が頷く。

こいつと暗がりで寄り添うとか、事案の臭いしかしない。


「お触り禁止だからね」

「まだ何も言ってないわ」

「わかるの、聞かなくてもわかるの」

「ちちくりあっていいのかしら?」

「禁止だって言ったでしょ!」


これ以上言うのも馬鹿らしくて私はソファに座る。


「あんたも早く座ったら?

 暗くなったら少しくらいしていいから」

「……ん?」


オーバーサイズスウェットの胸元を少しだけ緩めて見せる。

友達にだけは胸元がわずかに見えているはず。


「え?」


顔を狼狽えさせてる。


「嘘に決まってるでしょ」


軽く舌を出してからかい、胸元を隠した。

指先いがい許すかい。


-次回予告-

意外と初めてのデート③ アダルティなおもちゃへん

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