↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
36/43

第35話 意外と初めてのデート② 手をつなぎたいの?

紫外線から逃げるように降りた地下街。

時間が早くてまだ開いていないお店も多くて、すれ違う人は駅へ向かう人達ばかり。

それに逆らって私は前の席の友達と歩く。

いつも通る通路だけど、いつもより少しだけ会話がぎこちない。


「映画に行きたいんだっけ?」

「ええ、定番のデートっていうのに憧れていて」


駅前で待ち合わせて午前中に映画を見てランチ。

それから一緒に買い物をしたい。

デートの経験値がなさすぎる私ですら思い浮かぶ鉄板プラン。

それを一度やってみたかったらしい。


定期的に少女趣味を発症するのって、こいつに残された良心なのか。

普段からそんな女の子らしい面をもっと出してよ。


「しかも見るのが恋愛映画とか」

「それも定番でしょ?」


嫌いじゃないけど、どこかむず痒くてあまり見ないジャンルだよ。

それをふたりでだとさらに気恥ずかしくなりそう。

どうでもいい事を考えていると、歩調に合わせて揺れていた手が上からそっと握られた。


斜め上を見ると、満足そうな表情の友達。

優越感を感じているのかどこか誇らしげだ。

それが少しカチンと来た。


「これも定番?」

「そうだと思うわ」


そうかもしれないけど、私の知っている定番とは少しずれてる。

どうもしっくりこなくて物足りなくて。


手を振って離すと友達が悲しい顔をしたけど違うんだ、ちょっとだけ待ってね。

所在なさげになった指を取って、私の指と絡め合う。

普段ふれあわない場所がこすれ合い、恋愛映画なんかよりずっと恥ずかしい。


「こっちが定番だと思う」


もう一度斜め上を見ると、ピンク色の唇が小刻みに震えてるけど喜んでくれてるの?

振りほどかれないから拒絶はされていないと思う。


「恋人つなぎは嫌?」


私が力を抜くと逃さないように強く握り返された。

素直に言えばいいのに。


「は、早く行かないと映画が始まるわ」


急に歩幅を広げて歩き出されて、小柄な私はなんとか小走りでついていく。


「身長差を考えて!

 時間は余裕すぎでしょ」


あいつは多分きっと今の顔を見られたくないんだ。

だから横を歩かれたくない。

それは私も同じで、少しだけ体温が上がった頬がいつも通りになるよう願った。

ウェーブのかかったボブカットのくせ毛を手ぐしで寄せて、顔を隠した。


-次回予告-

映画を見よう!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。