第19話 耳の裏を嗅がせようとしてくる変態
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「おめでとー」
「おめでとう」
私と前の席の友達がぱちぱちと手を叩く。
学校の机を挟んで無表情な女子二人が拍手をしてるのはなかなかシュール。
その中央には、お手頃価格のスマートウォッチが置かれてる。
『今年初の30度越えおめでとー』
液晶ディスプレイに表示されている気温に、もう一度ぱちぱちと賞賛を。
「まだ5月上旬よ!」
いらだつ友達が立ち上がり、怒りに任せて時計を掴み振りかぶって……。
「それ私が誕プレであげたやつだよね」
思い出したみたいでぴたりと止まり、腕に付け直してニコニコしだした。
「これ可愛いしお気に入り」
「今投げようと」
「可愛さ余ってよ」
よくわからない言い訳している友達の額にはいくつもの汗が。
暑いの苦手だもんね。
「何が晴れの国よ、何が青空時間日本一よ、曇りなさいよ」
「自慢がそれしかないんだからうちらの街は」
窓辺の私たちの席は日当たりが良くて、お昼過ぎにはカーテン越しですら灼熱。
いらだつのもよくわかる。
「ほらほら、こことか匂ってみて、凄い臭いしそう」
耳を畳んで裏側を押し付けてくる。
やめろ、殴るぞ。
でも汗をかいているのは私も同じで、制服の下がべたついて仕方ない。
ハンカチを差し込んで、外から見えないように気をつけながら拭いて気を紛らわす。
取り出すと絞れそうなほど湿ってた。
なぜかそれを見つめる友達。
「それ凄い匂いしそう、嗅ぎたい」
「やめろ、殴るぞ」
本気で鼻を近づける友達を全力で押し返す。
「いいじゃない減るものでもないし」
「そっちはもう少しホモサピエンスの自覚を増やしてほしい……なっと」
攻撃を避けながら、友達横のカーテンを勢い良く開ける。
差し込む強烈な熱。
「アッツ!」
「消毒されろ」
でも滅菌されたらこいつ何も残らなさそう。
--次回予告--
メロい言葉で君を堕としちゃうぞ☆ 編
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