第13話 本気を出してきた変態と紙粘土
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前の席の友達の横顔をなんとなく見ていた。
窓際の彼女は、先日卒業生を見送った校庭の桜を見ている。
二つの水晶に移りこむ桃色は本物よりずっと幻惑的。
「あんたって黙ってるとほんとにほんと」
「お金払ってないのに虐めてくれるの?なんで?」
「喋るとほんとにほんと、ひっっどい」
恥ずかしそうに嬉しそうに、照れてる風にモジモジするな。
「これでもあなたには言葉選んで話してるつもりだけど」
「……」
「なにを鳩が豆鉄砲をダース単位で食らったような表情してるの?」
「あれで遠慮していたとか、本来ならどうなるのかなって」
長い指先を唇に当ててずいぶん考え込んだ後、決心したように頷く。
やばい、本気で行ってやるっていう目だ。
「この間私とうとう買ったんだけど……」
「聞きとうない!」
遠慮して、ずっと遠慮して。
指をバッテンにして友達に突きつけた。
ちょっとだけ何を買ったのか気にはなったけど、聞いたら絶対に損しかないと私の第6感が、ズビシズビシと教えてくれる。
全力で逃げろと、パトランプをグルグルさせながら。
「幼稚園振りだからもう懐かしいしエロイしで」
「え!?止まってくれないの!?」
ここ数日で最大の笑顔で身振り手振りしてくる。
「でさ、あれがこうなってさ、しかも最近のは進んでてさ」
「ここ学び舎だぞ!ブレーキ!ブレーーーーキ!!」
白いのを胸に押し付けてとかなに?
マニアックすぎて話してる内容ぜんぜんわかんない。
でもこれは続けていたら、停学になっちゃうやつだこれは。
私は前の席の友達の口を両手で必死に抑える。
『それでさらにさ、オリーブオイル塗っておくと綺麗にとれてさ』
「手を貫通してきた!」
よく聞こえるように大きな声で話してくれる、史上最大のありがた迷惑。
あなたちっちゃいんだからたくさん食べなって、勝手に大盛にしてくる親戚のおばちゃんくらい迷惑。
あとオリーブオイル農家さんは、そんなことに使われるために頑張ってるんじゃない!
「最後に色塗ろうかと思ったんだけど、むしろないほうがワビサビ的な?」
無いよ、そこにはワビもサビも無いよう。
「それでー」
休み時間よ早く終われと時計を見るけど後5分もあった。
ひいいい、私はそんな紙粘土の使い方知らない。
あれって、お母さんとか犬さんとか作るやつじゃないの?
「この写真みて!完成品!」
「ぎにゃああああああぁぁぁ……」
–次回--
ダイエットと電卓
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