第12話 だから一緒にシャワーは入らなって……はいる
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前の席の友達とテクテク歩く。
空からは雨が凄くて、制服の下が湿気で濡れているみたいな不快感。
むこうも同じ気分らしくて、上着をパタつかせて換気をしてる。
ちらちら見えるおへそは縦に切れ長。
「シャワー浴びたくなるわね」
「わかる」
「一緒に入りたくなるわね」
「それはわからない」
「前側洗ってあげるから」
「背中ですらないのか」
馬鹿な友達の自慢のストレートヘアーは少し潤んでいて、いつもよりもっと魅力的。
反対に私は。
「お風呂に入って自然乾燥で爆発したポメラニアン?」
ゴミみたいな例えをありがとうよ。
私のボブの猫っ毛はボリュームがいつもの倍になっていて、歩いていると風の抵抗を少し感じるくらい。
「前世は阿寒湖の水質浄化にいそしんだマリモ?」
ゴミふたつめ。
「タンポポの綿毛がたくさんついてるよ?」
ゴミみっつめ。
「髪が半乾きのままコーヒーカップに乗った?」
あのさ!
「さっきから、ちょっと分かりにくい例え何なの!?」
思わず噛みつくようにギャーギャー叫んでしまった。
髪がさ!細くてさ!ふわふわでさ!苦労してんの!
「君の可愛いところを褒めたくてさ」
「褒めてないしコンプレックスだわ!」
腹が立って友達の髪をわしゃわしゃしてやったけど、軽い手櫛で戻りやがった。
私なんてヒートブラシが必須なのに。
「嫌われたみたいね、残念」
まったく凹んで見えないのは気のせいかな、気のせいじゃない。
にやついてる。
「昨日美容室行って友達紹介のクーポンもらったのに」
「は?」
「ストレートパーマが8割オフなんだけどな」
「へ?」
「仕方ないからこれは捨て……」
私はがっしり前の席の友達の手を掴んだ。
にっこりと悪い笑顔で見つめ返してくる。
「シャワー浴びたくなるわね」
「わかる」
「一緒に入りたくなるわね」
「わ、わかる」
「前側洗ってあげるから」
「わ、わあぁー楽しみぃ」
人の尊厳を私は失うかも知れない。
--次回予告--
え?そんな使い方あるの? 編
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