第123話 2LDKでベッドは一緒がいいな
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※前話を読んでおくのをお勧めです
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「貴方に確かめてほしいの」
前の席の友達が私の前で膝立ちになり、着ている服のボタンをひとつずつ外していく。
白磁器より透明だと思っていた友達の肌だが、布の下に隠されていた箇所はさらに穢れを知らなかった。
女性らしい体型というには少し物足りないかもしれないけど、恥じらいを帯びた姿はそれだけで何よりも儚い。
少しうるんだ瞳が、次はどうすればいいか導いて欲しそうにこちらを見る。
「いや、なんで脱いでんの?」
机の上に食材を並べている私は冷たく言う。
そんな暇あるならタコパの準備手伝ってよ。
「だって貴方がタコスを食べやすい下着を着けて来いと命令したから。
間違ってないか確認が必要かと」
「命令?命令したっけ?」
そもそもタコスが食べやすい下着ってなんぞ?
「それよりも私が準備に忙しいのが見えないのかな?
お勧めの眼科教えようか?」
「あ、はい、手伝います」
そそくさと服を整えた友達が、私が持っているお盆からお皿を次々降ろしていく。
今日は少し前に話した『タコスパーティー』略してタコパの日。
費用は半分ずつだけど、調理は私が全部やった。
せっかくなら作ってあげたかったから。
「黄色いのね」
具を包むタコスの皮、トルティーヤを手に取り電灯の光に透かしている友達。
そうなんだよ、その黄色いのがこだわりなんだ。
「小麦粉じゃなくて、トウモロコシの粉で作っているからね」
「手が込んでるわ」
「混ぜる粉が変わっただけでそんなことないよ」
本当は水分量を調整しながら生地を練り、硬くならないように火を通すのに苦労したんだ。
大成功しておいしくできたから自慢したいところだけど、そこはまあね秘密のほうがカッコいいかなって。
「お肉や野菜もいろいろ用意したからたくさん食べてね?
ソースはトマトのサルサソースと、アボカドのワカモレソースがあるから。
お口に合えば良いな」
「合うに決まっているじゃない!
貴方が作ってくれたんだもの!」
炒めたひき肉、レタス、玉ねぎ、ピクルス、角切りトマト、などなどなどなど。
所狭しとお皿が並ぶテーブルに、きらきらとした視線を落としている友達。
その横顔は能面少女にしては珍しくほどけていた。
こうも素直に喜んでくれるなら嬉しいですな。
「じゃあ早速いただくわ」
お皿の上にトルティーヤを乗せ、よっぽど喜んでくれていたのかこぼれそうなほどに具材を乗せていた。
「いただきます」
忘れていたと手を合わせて挨拶をした友達が、服から腕を抜いて持ち上げようとしたので、両手で止めた。
「脱がなくていいから、脱がなくて」
「だって貴方が食べやすいのを着て来いと命令を」
「してないけど、タコスを食べやすい下着がどんなのか若干興味湧いてきたわ」
「なら遠慮なく見て?」
「脱ぐなって言ってんだろ」
脱ごうとする友達と、着せようとする私。
持ち上がった服の隙間から、おへそが見えていたのを無理やり戻す。
「まあまあ凄いの着てるのよ?」
「知らないよ。
半裸の友達が目の前にいたらご飯食べにくいわ」
「おかずが一品増えるわね」
ニコニコ顔の友達の鼻を掴むと、ふがふがと騒ぎ出す。
「食事中の下ネタは嫌いなんだけど?」
「ふぁい、ひもにめいぢます」
手を離すとひりひりするのか擦っている。
まったくこいつはと嘆息しながら、友達のタコスにワカモレソースをかけた。
「ほら、あんたが選んだ具ならこっちが合うから食べてみて」
「……ありがとう」
叱られたことに珍しくしょんぼりしてる友達が齧る。
初めての味を確かめるようにゆっくりと口を動かす。
しばらくすると何度か大きくうなずき、サザンカの様に零れる笑顔を作った。
「凄く美味しいわ!」
「それはよかったよ」
うんうん、頑張って作ったかいがあったよ。
「料理が上手だし可愛いし!
将来貴方と暮らす人は幸せね」
「あー、それは」
ずいぶんと褒めてくれるね。
ただ、まあ、なんていうか、幸せか。
「よかったね」
「……ありがとう?」
-次回予告-
初めては痛い
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