第111話 一回じゃ足りなかったの?しかたないにゃあ
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見上げた秋空は高くて、名前を知らない鳥が西から東へ駆けていく。
どこかで野焼きでもしてるのかな、遠くから希釈された藁の焦げる匂いがする。
風は冷たいけど日差しは暖かくて、平和だなあ。
公園のベンチに座る私は、今年もそろそろ最後になりそうな冷たい紅茶缶を飲んだ。
「こんな日が続くと良いねえ」
隣に座る前の席の友達が、私の言葉に缶ココアを啜る音で返事をした。
おいおい、この後ご飯食べに行くんだから、糖分でお腹いっぱいにしないでよ?
中間テスト終わりで、午前授業となったまだまだ早い時間。
お疲れ様会として打ち上げをこれから友達とするんだ。
お菓子食べて、たくさん話して、ちょっとお昼寝して寝不足消して、いろいろやるんだー。
ココアを飲み終えた友達が小さく”ごちそうさまでした”と言うと、近くの自動販売機まで歩いてゴミ箱に缶を捨てた。
小さな歩幅で帰ってくるともう一度隣に座り、久しぶりに私に話しかけてきた。
「今日の打ち上げだけど」
うんうん、楽しみだね。
「勉強会にする?」
まったく悪気のない言葉に私が固まる。
なんで憩いの時間がゴートゥーヘルに変わるんだ。
「数学がまずいのよね?」
なんのことかな?
わかんないなあ。
「化学は大丈夫なの?
苦手だったと思うのだけれど」
純粋な心配をしてくれている友達。
「やまが、やまが外れたんだもん」
「そもそもやまを張るのが間違っているのよ」
「あんな広いテスト範囲を網羅できるわけないし」
「毎日予習と復習していれば、直前に焦ることなんて無いわ」
久しぶりの正論パンチ。
「はっ!それができないから困っているのに。
これだからいい子ちゃんは」
「しなさいよ」
2発目。
今日はパンチ多めだなあ。
「嫌よ私は、貴方が来年後輩になるなんて」
だからって、だからってさ、ここのとこ寝不足で頑張ったのにまた勉強だなんてあんまりじゃないか。
「今朝家出るときにお布団干してきたの!」
声高らかに宣言すると同時に、私は空のぽかぽか陽気を指さす。
「今帰るとふかふかになってるよ。
お昼寝好きだよね、今日は一緒の布団で寝ようよ?」
私の指につられて上を見ていた友達が、そのままのポーズでぽつりという。
「さすがの私も性的欲求のために、本来やらねばならないことを曲げたりしないわよ?」
くそ、この優等生が。
ふかふかの布団だよ?
夕方にはしおしおのお布団にメタモルフォーゼしちゃうんだよ?
なんで我慢できるの?正気なのかな?
「というわけでテスト期間の延長戦に入るわ」
「断固!断固拒否する!」
「ほら、いまから帰って頑張れば昼過ぎには終わるわ。
お昼寝も間に合うから」
立ち上がった友達が早くやるよと促すように、私へ手を差し伸べた。
「一緒に卒業したいし、なにより学年が離れ離れなんて私は寂しいわ」
-次回予告-
そのテクニックどこで覚えたの?
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