第108話 まだなの?人が来ちゃうよ?
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「じゃあそろそろ帰るねー」
「ええ、気を付けて」
秋になりすっかり早くなった日没。
私は前の席の友達の部屋で大きく伸びをした。
スクールバッグを肩にかけて扉の前に立つと、その脇に畳まれた毛布が置いてあるのに気が付いた。
「これ捨てるの?」
「ええ、さすがに古くてね。
あまり暖かくないの」
そか、このあたりの地域は明日が資源ごみだったね。
「ゴミステーションに入れておけばいいんだよね?
帰りについでにやっておくよ」
「ほんと?
学校に行く前にやるの面倒だと思っていたのよ、助かるわ」
あそこは24時間出して構わないところだから。
そう教えてくれた。
私は小脇に毛布を抱えると、改めてばいばいと言った。
友達の家を出ると少し冷たい風が吹いている。
季節が変わるのは早いなと、背中を丸めて歩く。
道すがらにある網かごの立派なゴミステーションに友達の毛布を入れると、足早に帰った。
晩御飯は温まるやつだと嬉しいけど、今お野菜とか高いんだよねー。
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清々しい朝の雲の下、待ち合わせ場所のコンビニの前で私はあくびをする。
いつもは友達が先についてることが多いんだけど、今日は珍しくその姿はなかった。
名誉のためだけど、私が遅刻してるんじゃなくてあっちが早いだけ。
「あ、来た来た」
曲がり角に見えた友達。
何かあったのかな、顎に手を当てて悩みこんでる。
朝からどした?
「おはよ」
「おはよう、待たせたわね」
私の声にこっちを向いて、見逃しそうな笑顔を浮かべてくれた。
「悩み事?
表情険しかったけど」
「悩み事というか、どういう意味か理解ができなくて」
頭の上に?マークを大量に浮かべている友達。
「ここに来る道すがら、ゴミ捨て場の前を通ったの」
「うん」
まあそうだよね?
「私の毛布が捨ててあったの」
えーと?まあそうだよね?
そういう話だったし、まさか間違えた?
「え!?ごめん!?
捨てちゃダメなやつ持って行っちゃったりしてた!?」
私がわたわたしていると友達が、どうどうと落ち着かせてくる。
「それは間違いないわ、捨てるやつよ」
「なら何が問題?」
「問題というか、毛布が捨ててあったの」
「だからあれはゴミなんじゃ?」
お互いに話が通じないことが少しストレスで、やきもきしてしまう。
「私の毛布を持って帰らなかったの?」
「えーーーーーーーーーと、なんで?」
私もお布団くらいもってるよ。
「こっそり持って帰って自分の部屋でくるまるものじゃないの?
”やだ、まるであの人に抱かれているみたい”とかいって、眠れない夜を過ごすものじゃないの?」
「お前目線で語られても困るし、昨日はぐっすり寝たよ」
「私は貴方がいまごろベッドの上でと妄想がはかどって寝不足よ?」
「知らんがな」
私が悪いようにいわれましても。
「それに捨てるって約束したんだし、信頼してくれてるの裏切れないでしょ」
普段は常識人だけど、まあまあルールを破ることが多い友達が感心したように頷いてた。
「貴方って良い人よね本当に」
「それはどうも」
当たり前にしているだけで好感度が上がるなら、お得かもしれない。
それにさ。
「毛布盗まなくても、ハグくらいしてくれるよね?」
私の言葉に友達がたじろいでる。
「いえ、それはなんというか」
「してくれないの?」
「……させていただきます」
照れて目線をそらしている友達の袖を掴むと、コンビニ前から路地裏まで引っ張っていく。
「ん、じゃあして」
周りに人がいないことを確認してから私は両手を開いた。
-次回予告-
家族会議と友人会議
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