第100話 10 YEARS AFTER
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「10年後って何してると思う?」
唐突な前の席の友達の言葉。
いつものように私の家に寄った夕方、窓辺で西日を浴びるその横顔は大人と子供の境目の危うさ。
「働いている人は長期目標っていってそこまで考えてるんだって」
10年後、20代半ばか。
高校を卒業して、大学も卒業して、働いてるのかな。
職場の後輩とかもいたりして教育係になったりとか。
どれだけ考えても何もかもが未知数過ぎて、絵空事にしか思えない。
「ぜっんぜんわかんないな。
進学する学部ですら悩んでるのに」
「そうよね。
今やりたいことが自分にとって正しいとも限らないし」
「でもどしたの急に?」
茜色に染まっている友達が、ちょっとだけ寂しそうな表情をしていた。
薄い唇の端が、少しだけ、震えている。
「私たち大学は別々よね?」
得意とすること、やりたいと思うこと、それが私たちは違う。
だから私はその問いには短くしか答えられなかった。
「そう、だね、うん」
自分の中でわかっていたけど考えないようにしていた。
楽しいなと思える今もあと1年とちょっと。
「先を考えると不安になるのよ」
私よりもずっと乙女な友達。
そっか、悩んでくれてたんだ。
「そうだね、私たちの高校生活ももう後半だね」
「短いのよ、3年だけなんて」
ぶーたれながら黒髪を指先でいじっていた。
「あのさ」
「なにかしら?」
そんな友達に声をかけるとツマラナさそうで、少しいじけた表情を向けてきた。
「私ってよく笑う方だと思うの」
「まあ、そうね」
窓辺に近寄り瞳を同じ高さに合わせると、私の口角が上がる。
あんたを見ると自然と笑えてしまう幸せ。
恥ずかしくて言えないけど、一番笑うのはあんたの前なんだ。
だからさ。
「10年後も隣で見ていてほしいな」
たくさん喧嘩して仲直りして。
何度も泣いて、その何倍も喜びあって。
これからの私たちに待っている出来事を過ごした時。
その時、私はどんなふうにあんたを思ってるんだろ。
「進む道が違っても私は離れたりしないから」
私たちの間にあった半歩分の距離。
それを一歩分進めると、額がぶつかり、鼻が交差して、唇同士が掠れた。
「特等席で見ててね」
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祝100話
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-次回予告-
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