第10話 性根は腐っているけどピアノは上手くて変態
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放課後のふたりっきりの音楽室。
前の席の友達がピアノを弾いていた。
涙が出そうな感動や、心がざわめく恐怖。
細い指が鍵盤の上を走るたびに、いろんな感情が紡ぎだされる。
表現力なんて小さな言葉では表せられない。
やがて旋律は小さくなり、消えた。
私は思わず拍手をする。
「いやー、性癖腐ってるのにこんな綺麗な曲を弾けるとか」
ピアノの椅子に座って背を向けていた友人が、長い髪を優雅にたなびかせながら振り返った。
「そんな風に言われると恥ずかしいね」
「褒めてないから、褒めてないから」
ポジティブ過ぎて困りながらもその才能は本当に羨ましい。
「私も楽器できたらな―」
子供の頃はスポーツしかしていなかったので芸術系は本当に縁が無い。
体力なら自信あるんだけどさ。
「こっちきて座って、少しだけ教えてあげる」
椅子から立ち上がって席をぽんぽんしている。
「え?ほんと?あまえちゃお」
練習したら私も弾けるようになっちゃったりして。
いつかふたりで演奏できたら楽しいよね。
うきうきとして座った私だけど、ふと気がついた。
「先に言っておくけど」
「どうしたの?」
後ろに立った友人の手が、私の胸辺りでわきわきしていた。
それを冷たく見下ろす。
「手首より先以外に触れたら折るから」
「……なにを?」
「友人関係」
すーっと名残惜しそうに引かれていった指が鍵盤をひとつ押した。
「これがドよ」
「さすがに知ってる」
--次回予告--
熱の測り方はほっぺた 編
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