#66 バーサス魔王
城内 訓練所
「はぁぁぁぁ!!」
アグワスはラングに攻撃を仕掛けた、ラングがそれを防ぐとその影からチマが飛び出し打撃、上からクロとキサが魔法を放った。
「ふんっ!!はぁっ!!」
ラングはその全ての攻撃を防いだ。
ソフィアから離れたラングはアグワスと会い、手合わせを願われていた。
それなら自身の鍛練の為にもとチマとクロ、キサも参加して攻めてきてくれと頼んでいた。
「つ、強い…!さすが魔王だ……」
アグワスは息が切れていた。
「うー……。攻撃が弾かれるっす…」
「ラング様、魔法をかき消すのは反則なので受けてもらっていいですか?」
「受けてもらうとは何だ!!かき消すことが出来ない魔法を使ってこい!!あとタイミングを考えるんだ!」
ラングは熱くなっていた。
「……申し訳ありません、甘えておりました。今から少し皆と相談してもよろしいでしょうか?」
クロがラングに願う。
「ああ、当然だ!今のままではこれからの戦いに勝てないかもしれないぞ!少しでも多く考えろ!あとバラガス達も加われ!私に傷一つでも付けたらそちらの勝ちでこの訓練は終わりにするぞ!」
いつもより力を出したラングが全員を叱咤した。
チマ達はクロを筆頭に作戦を立て終わったがそのままの体勢で声を大きくした。
「……今のラング様、なんかちょっとイラッと来ませんでした?」
「したした!!何あれ?何なの?」
「こんなときに本気出して何なんすかね!?」
「あれが本性なのか?」
「なんか……あれですね」
「はい、なんかあれですね」
ラングに聞こえるか聞こえないかの大きさで話始めた。
「……ん?何を話している?作戦会議にかこつけて私の悪口か……?」
ラングは気になって仕方がなかった。
クロがラングを見たあとヒソヒソと話し始め、今度は全員でラングを見た。
数秒見たあとラングから視線を外し、また皆でヒソヒソと話し始めた。
「完全に悪口言ってるな?おい!クロ!!」
ラングが近づいてきたのを確認してキサがクロの背中に乗る。
『風刃雷躯』
クロは高速で真っ直ぐにラングに飛び、風の刃で切り裂こうとすると同時にキサが雷魔法を唱えた。
「ぐぁ!……ちぃ!!」
ラングはクロの風魔法とキサの雷魔法の両方を完璧に防ぐ事が出来ず、少しだけダメージを受けてしまった。
次にチマの土魔法で力を強化されたコボルド部隊が切り、薙ぎ、撃つ。
「えぇい!ややこしい!!」
全てを防ぐラング。
直後、チマが懐に入り込み腹に一撃、ラングは防御が間に合わなかった。
ダメージを受け、腰が折れるように屈みそうなラングにアグワスが攻撃を仕掛ける。
『風車一閃』
ラングに向かい槍をぶん回した後、素早く槍をラングに突き刺した。
……かと思われたが槍は折れ、ラングは傷を負ってはいなかった。
「…はぁはぁ、終わりか?」
「今のも通用しませんか…」
クロは残念がっている。
「いや、でも今のは良かったぞ。というかチマの一撃は重いな……」
「ほんとっすか!?やった!!ラング様に通用するっす!」
「チマだけじゃない、今の一連は本当に良かった」
ラングが話した後、再度クロとキサ、チマがヒソヒソと話し始める。
しかし、それは特に関係の無い話をしていた。
が、ラングは当然反応した。
「おい!今度は本当に悪口言ってるだろ!?」
ラングがまた近づいてきたのを確認して
『風刃雷躯』
再度クロとキサは魔法を仕掛け、そのすぐあとにチマが走り込む。
「同じ魔法は効かぬわ!!」
ラングはクロキサコンビの攻撃を避けた。
刹那
『ストーンエッジ』
チマが魔法を唱える。尖った数本の岩がラングに襲いかかる。
しかし速度が足りなかった。
ラングは岩の刃を剣で叩き切ったがその隙を突かれた。
「おぉぉぉぉぉぉぁぁぁ!!!」
チマの渾身の一撃がラングの腹にヒットした。
「がはぁっ…!」
その場にうずくまるラング。
「やった!!やったっす!!」
「やりましたね」
「やったぁーー!」
三人は喜び
「さて、帰りましょうか」
「そうだね」
「何か食べてから帰りたいっす」
アグワスを除く全員で訓練所から出ていった。
「……ラ、ラング殿」
アグワスはあまりにも可哀想な状況のラングを見捨て置けなかった。
「ア、アグワスさん…。私ね、魔王なんですよ」
腹を押さえながら体勢を整える。
「それは知っているが……」
「どう思われる?」
「今のか?」
「そうです」
「…………頼もしい。でいいんじゃないか?」
アグワスはどう答えるか迷ったがそう答えるしかなかった。
「頼もしい……。それはそうかもしれないが」
「愛されてるって事でいいんじゃないのか?」
「愛?……それがきっかけでソフィアは怒っていたのだが、一体それは何なのだ」
「答えなんか無いさ、むしろあったら俺が聞きたいね」
「人間でもそうなのか…」
「あぁ、難しいものなのさ」
「そうか……。じゃあそれを理解することを目標とするか」
「はっはっは!そりゃいいや!さて帰ろうか。美味しい物、食べるんだろ?」
二人は訓練所を出て街に向かっていった。




