#65 ソフィア、帰る
先生!!帰りますよ!!」
ソフィアはナイアがいる部屋の扉を強めに開けた。
それにビクッと驚いたナイアは
「か、帰る!?ラングさんとデートじゃな…」
ソフィアはおもいっきりナイアを睨んだ。
「……いね、それじゃ一度帰るとするかね…」
ナイアは立ち上がるとソフィアはそのまま出ていってしまった。
「ありゃケンカしたね……」
「しましたね…。私達も悪いのでしょうか?」
「恐らくね、からかいすぎたね」
「しかしラングは何をしたんだ?」
「多分ラングさんよりもソフィアが原因だろうね、まぁその原因を作ったのは私達だとは思うが…」
ナイアは額に手をあてうつむいた。
「少しこの話題は避けた方がいいかもしれないですね……」
「そうだね……、あの二人が戦うことにもなったら元も子も無いからね…」
勇者対魔王の構図になってしまえば今まで変わらない、それは避けなければならなかった。
「帰るのなら私が送りますよ。魔法でひとっとび!」
「いいよいいよ、そんなことに王に魔法使わせたら民に悪い」
「いえいえ、私も拠点とやらに興味がありますので見ておきたいのですよ」
「……まぁそういうことならお言葉に甘えようかね」
拠点
「……暇!!」
一人留守番をしているナイトメアは暇を持て余していた。
「おかしくない!?皆して城に行って俺一人だけ留守番なんて!あいつら絶対今頃楽しんでるよ!」
ナイトメアはその能力ゆえに拠点を攻められても一人でも防衛できるだろうと言われ、その時は自身もその気になって留守番を引き受けていた。
しかし、暇だった。
「大体攻められるってどこの誰が攻めてくんのさ!自分達が狙われてるんだからここには来ないだろう!」
ナイトメアは暇が拗れすぎて荒れているため大きめの独り言が止まらなかった。
その時、扉を叩く音が聞こえた。
「…ん?誰だ?」
ナイトメアが扉の近くに歩いていくと
「王国警備隊です」
王国警備隊?ラング達に何かあったのか?ナイトメアはすぐに扉を開けた。
「な、何かあったのか!?」
しまった!人間相手には子供っぽい口調で対応しようと決めたのに、ナイトメアは態勢を直した。
扉を開けた先には鎧を身に纏った男が二名立っていた。
その一人が話し始める。
「…こ、子供?すまないがお母さんかお父さんは?」
「…いないよ」
「どこか行ってるの?」
「ううん、親はいないよ」
「そ!そうなのかい!?……すまないことを聞いてしまったね」
警備隊と名乗る男は気まずそうに下を向いた。
「ううん、大丈夫だよ!それで御用はなんですか?」
「ん?…ううん」
警備隊の男は話すかどうか迷った。
ここに来たのは調査の為だった。いつの間にか建物が出来ていて広場等もある。
不気味だという連絡があり住居許可も無かった為に調査に来た。
しかしそれをこの子に話しても伝わるか、いや、そもそも話しても良いものか迷った。
「実はここの家が許可を得ていなくてね?」
「許可?」
「うん、許可。わかるかな?」
「お許しが無いってこと?」
「そ!そう!いやぁ賢いね、ボク」
「えへへ、ありがとう!」
「このおうちの人は今はいないかな?」
「うん!いないよ。僕がお留守番だから」
「ちなみにおうちの人ってどういう人かな?」
「…うーん」
ナイトメアは悩んだ、どう答えるべきか。
自分の返答次第では大問題になるかもしれない。
「どうしたのかな?」
警備隊の男は悩んでるナイトメアを見て不思議に思った。
「いっぱいいるからどう言えばいいのかわからなくて」
ナイトメアはとぼけた。
「いっぱいいるの?」
「うん、皆で一緒にいるから」
「こ、ここって君みたいな子達がいっぱい住んでいるところ?」
「それはどういう事ですか?」
「ご!ごめん、別に特別な意味は無いんだ」
「ううん、わかるよ。おじさんは僕が可哀想な子だと思ってるんでしょ?でも今はすごく楽しいんだ!!」
「そ、そうなんだね!……それじゃまた来ることにするよ」
「うん!!」
警備隊の男は扉を閉めようとした。
「おや?君は警備隊かい?」
トッドギース達が拠点に到着した。
「ト、トッドギース王!!な、何故ここに?」
警備隊の男は戸惑っている。
「勇者を送ってきたのさ。何か問題があったのかい?」
「ゆ、勇者?いや…ここの住居が許可を得ていないのといくつか国民から連絡があったので調査に来たのですが…」
「許可?…あぁ、そうか。ラングがそれを知るわけが無いな。私が直々に許可するからその問題は解決でいいぞ」
「あ、あの…。ここは一体…?」
「世界を救うための拠点さ。私もここに出入りするし、そろそろアグワスもここに来るだろう」
「………と、とりあえずこちらが口出しするような事ではないことはわかりました。それではこれで戻ります」
「うん、ご苦労様」
警備隊は恐縮するようにその場を小走りで去っていった。
「おかえりなさい!」
ナイトメアはナイアに笑顔を見せる。
「ただいま!!何も無かったかい?今の人たち怖かったねぇ」
「うん、でも大丈夫だよ!」
「あぁそうかい!いい子だねぇ」
ナイアはナイトメアを抱きしめ頬擦りしている。
その姿を見たトッドギースは少し引いていた。
「…ソフィア?」
「はい?」
「あのナイアさんは?」
「母性が暴走した先生です」
「な、なるほど……」




