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魔王は3LDKに住みたい  作者: 海鮮メロン
53/70

#53 王国騎士団、参上

市場


一行はその氷魔法を使う漁師がいるという店に行くために市場に来ていた。

しかし民達からの王の人気が凄くここまで来るのにとんでもなく時間がかかってしまった。


「王は慕われているんだねぇ。本家の時とは大違いだ」

「まぁ悪政を見てきましたからね。つまりはそれをやらなければいい」

「…まっ、そりゃそうだね」

「なのでナイアさんも戻ってきても大丈夫なんですよ?」

「戻るつもりはないよ。あなたは良い王様なのかもしれないが私にはこの街は嫌な思い出が多すぎる」

「失礼。しつこかったですかね」

「いや、いいさ」

王とナイアが会話しながら歩いている前方でソフィアとラングはキョロキョロと辺りを見ながら歩いていた。


「…何か異変感じました?」

「今のところは特には」

「しかし本当に魔族だとしたらどうするんですか?」

「…そこで戦闘するわけにはいきませんからね。王に任せますよ」

「ですよね…。何か簡単に正体がわかる方法があればいいのですが」

「とりあえず店に着いたらそこら辺一帯に魔力無効化をかけてみようかとは思うのですが」

「魔法で変化していた場合はそれで解けますけど解けたらそのまま襲ってきませんか?」

「……それはそうですね」


道案内のため先頭にいたアグワスが振り返る。

「勇者と魔王。一体どんな関係性かと思っていたが…。何か真面目すぎるな」

「…な、何ですかいきなり」

「いや、周りにはこんなに店があるんだぜ?魔王が食べたい美味しい物もたくさん売っている。なのにそういう話ばかりだからな?」

「私とて時と場所はわきまえるさ。何も見境無しにそれを求めているわけではない」

「そ、そうか、すまなかったな」

「いや、大丈夫だ」

「…見えてきたぞ。あの屋台だ」


その漁師がやっているという店は屋台で周りから全てが見えていた。

「都合が悪いな…」

「えぇ…。まさか屋台だったとは」

「何かあったらすぐに街に広がってしまう」


ラング達は一度立ち止まった。


「…どうしたんだい?」

ナイアは不思議そうに二人に話しかける。



「先生、あれを」

「…屋台かい。確かに都合が悪いね」

「近付いてみるしかないですかね」

「まぁ、そうだろうね。旅の一行として近付いて、なるべく警戒されないようにするしかないかもね」


「…行くしかないか」

一行は店に近付くことにした。

しかし王が目立ってしまい、近付く途中で漁師に姿を見られてしまった。


「…こっちを凄く見てるな」

「王を見てるんじゃないですか?」

「いや、目が合ってる……」

ラングは店先にいた女性と目を合わせてしまった。


「あの人、笑ってませんか?」

「…あぁ、気付かれたかもしれないですね」


その女性は次第に笑みを強め、ラングの方向を向いた。

「…完全にラングさんのこと見て笑ってますね」

「なんか怖いな、あいつ」


急に女性はラングに向かって走ってきた。

「…まずい!来た!!」

「ちぃ!街中で始めるつもりかい!?」

「アグワスさん!王を!!」

「あぁ!」

アグワスは王を連れその場から下がった。


しかし女性は途中で減速し、ラングの少し前で止まった。

「…ん?何だ?」

「ラング様ですよね?」

「あぁ、そうだが」

「良かったぁ、やっと会えた!」

「え?知り合いですか?」

「いや、わからないです」

ラングは女性に

「どちら様ですか?」


女性は笑顔のまま

「私はローレライと申します。あなたを殺すためにわざわざ魔界から来たんです…よ!!」

ローレライの手から冷気が放たれ、ラングの足を凍らせた。


「何だと?…ちっ!動けん」

「はーい、じゃあ斬りますねぇ」

上にかざした手から氷の剣が徐々に出来上がり、そのまま振り下ろした。


しかしその氷の剣はラングを切る前に折れ、ラングから離れたところに落ちた。

「…やらせると思ってるの?」

ソフィアが剣を抜いている。


異変に気付いた周辺の人々は一斉に逃げ始めた。


「アグワス!!王と共に逃げな!!」

「…し、しかし!」

「つべこべ言わずに行くんだよ!!」

「…わ、わかった!」

ナイアはアグワスに王と共に逃げるように伝え、アグワスは戸惑いながらも了承した。



「ラングさん、熱いですよ」

『ファイア』

その後ラングの足の氷を溶かそうとするも

「…溶けない!?」


「アハハ、そんなもので溶けるわけないじゃない」

ローレライはまた笑っている。


『メルト』

その場の誰かが魔法を唱えるとラングの足を凍らせていた氷は跡形もなく溶けた。

声がした方を振り向くとトッドギースが手をかざしていた。


「トッドギース王…、アグワスさんと逃げたのでは?」

「街で暴れている奴が目の前にいるんだ、王である私が逃げてどうする。アグワスだけ城に行かせて騎士団と共に来るように伝えた」


「……あんた、誰?」

ローレライは恨みがましい目でトッドギースを見ている。

「この国の王だ。悪いが私の街を守るため本気でやらせてもらうよ!」

『サンダー』


頭上に雲が現れる。

「…ちっ!」

咄嗟に後ろに下がるが雷は方向を変え、ダメージを与えた。


「その程度離れても無駄さ。君をターゲットにしているのだからね!」

「…まさか、こんなところに雷魔法の使い手がいるなんて」

「雷だけじゃないよ?」


『ストーンエッジ』

トッドギースの周りに石の刃が現れ、一斉にローレライに向かって飛んでいく。


『アイスウォール』

氷の壁にストーンエッジが突き刺さり、そのまま消えた。


「…今の時代の王は強いんだね、私がいた頃とは大違いだ。皆!こっちに来い!!」

呼び掛けに反応した漁師達が近付いてきた。


「でも、王は民を守らなくてはいけないよね。あの者達は私が操っている人間。どうする?」


『パラライズ』

「じゃあ、しばらく痺れておいてもらうよ。彼らを走らせなかった君の敗けだね」

ローレライの遥か後方で漁師達は痺れ、その場に倒れ込んだ。


「…ぅぅっ!くそ!くそ!」

「そもそも聞きたいんだが魔王の周りにいる彼女達が誰か知らないのか?私がいなくても簡単には魔王を倒せそうにないとわかるものだと思うが」

「…勇者の力はまだ完璧ではないと聞いていた。そっちは火の魔術師だろ?私の敵ではない」

「なるほど、今までの話をまとめると弱点を自分から言ったようなものだね」

「何だと?」


「じゃあ三人同時に唱えてみようか」

「街への被害は大丈夫か?」

ラングは上着を脱ぎながらトッドギースに聞く。


「大丈夫さ、街の人達は逃げてるし、壊れたものは直せばいい」

「…ふっ、了解した!」

トッドギース、ラング、ナイアはそれぞれ雷魔法を唱えた。

『サンダー』

『サンダーボルト』

『スパーク』


「や、やめろぉぉぉ!!!!」

ローレライはその場にしゃがみこんだ。強烈な稲光と音がローレライを包み込んだ。

「人間はね、ある程度ならどの属性の魔法も使えるんだよ。もちろん使えないものもあるけどね」


「これで倒せてればいいのだが…」

ラングは土煙で見えなくなったローレライの姿を探した。


うっすらと影が見えて来た頃、その影がローレライのものではないと瞬時に察知し

「……っ!!」

咄嗟に魔王の剣を構える。


影も剣を構えラングに素早く近付いてきた。

魔王の剣同士がぶつかり合い鍔迫り合いが始まった。


「やはり貴様か!ロキ!!」

「…ふふふ、今日は私の部隊も連れてきましたよ」

「何!?」


ロキが離れるとその後ろに数十にも及ぶ魔族達がいた。


「…あんな数、一度に瞬時に人間界に来たというの?」

「ちょっと次元が違いすぎないかねぇ」

「王よ、今から多大なる迷惑をかけるかもしれん」

「大丈夫だよ、それにこっちも到着したようだ」

トッドギースが後ろを見るとアグワスを先頭に騎士団が走ってきた。


「トッドギース王!!王国騎士団!ただいま参りました!!」

アグワスが大きな声で呼び掛ける。


「ごくろう。じゃあ…」

トッドギースは魔族の部隊に強い眼差しを飛ばし

「王、トッドギースの名において命ずる!!王国騎士団は勇者ソフィア、魔法剣士ラング、魔術師ナイア、そして私と共に魔族を退けるのだ!!」

「おおおおぉぉぉ!!!」

騎士団は雄叫びと共に走り出した。



「魔法剣士?」

「その方がいいだろう、今後のためにもね」

「……悪くない」

ラングはにやけている。


「ハハハ、不思議な魔王だよ。本当」

ラングとトッドギースは笑いあったあと、戦闘体制に入った。

「行くぞ!!」

ラングとソフィアを先頭に人間対魔族の戦いが始まった。

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