#54 ラングの挑発
王都アーサーの市場は戦場となってしまい、見る影も無く崩れてしまっていた。
ラングとソフィアは戦場の中央でロキと、ナイアとトッドギースは騎士団と共に周辺の魔族と戦っていた。
ラングとソフィアは土の精霊と戦ったときのような戦い方でラングはソフィアが動きやすくなるように戦いを進めていた。相手が相手な故、闇の力は通用しないのではと考えたからであった。
何よりソフィアの光の力が有効だとわかっていた。
「ソフィアさん!いつでも光魔法を撃ってください!」
ロキと再度鍔迫り合いをして動きを止めていた。
「はい!でもラングさんは大丈夫なんですか!?」
「……大丈夫です!しっかりと避けるので気にせず撃ってください!」
「わかりました!」
ソフィアは光魔法を撃とうとするも
「やらせるわけがないでしょう!!」
ロキは指をソフィアに向け詠唱無しで魔法を放つ。
「それはこっちの台詞だ!!」
ラングがソフィアがいる方向に手をかざすと魔法障壁が現れソフィアを守る。驚くことにソフィアは全く動じておらず、集中した状態で光魔法を唱える。
二人の間に少なからず信頼関係が生まれていた。
『ライトブレード』
ソフィアの周りに五本の光の刃が現れ、それをロキに向けて放った。
「ちぃ!」
光の刃は真っ直ぐに飛んでくるためロキは飛び上がりそれを避けた。
「ぐわぁ!!」
ラングも避けようとしたがすでに遅く、二本の刃が直撃してしまった。
「ラングさん!!」
「…大丈夫です。やはり闇の者にはきついですね、その魔法は」
「やはり控えた方がよろしいですか?」
「いえ、それではロキに対抗が出来ません。私の事は気にせずどんどん撃ってください」
「……いえ、出来ません!」
「えっ?」
「仲間を傷つけて勝つなど、そんな事は勇者がするべきことではありませんから!」
「そ、そんなこと言っている場合じゃ」
「仲間というのは煩わしいでしょう?」
そう言いながらロキが広範囲の魔法を放つ。
それはラング達や騎士団のみならず他の魔族にまでダメージを与えていた。
「貴様!何を考えている!」
「ふふふ、仲間のいない私だからこそ出来る攻撃ですよ。あなた方には出来ない、ね」
「…俺が貴様の立場でも同じ事はしないだろうけどな。それだけ貴様の行為は腹立たしい!」
「じゃあどうしますか?」
「貴様を倒すに決まっているだろう!!」
「ふふっ、中々に熱くなっているじゃないですか。でもそれだけでは私は倒せませんよ!!」
再びロキが魔王の剣で攻撃を仕掛けてきた。
ロキはソフィアの光魔法さえ受けなければ勝てると考え、さらにライトブレードは直線でしか飛んでこないという仮説を立て自分とソフィアの間に必ずラングがいるように立ち回った。
こうすればソフィアはもう光魔法を撃つことは出来ない。あとはじわじわとラングの体力を削っていけばいいと思っていた。
「…何だ?何故必要以上に踏み込んでこない?」
「さぁ?何故でしょうね」
「ちぃっ!ソフィアさん!魔法を!」
「出来ません!!」
「そんな事を言っている場合ではないんですよ!」
「いえ!そうではなく!!」
「…何です!?」
「位置です。ラングさんの位置。私が移動してもロキも移動して必ずラングさんに魔法が当たってしまう位置に誘導されています!」
「…そういうことか」
「ふふっ、気付かれてしまいましたか」
「…ふっ、くくくっ、ハーッハッハッハ!!」
ラングはいきなり大きく笑い始めた。
「随分と雑魚っぽい事をしてくれるじゃないか」
「……何ですって?」
「そうだろう?勇者の光魔法が怖くて俺を盾にしてるんだ。それを雑魚と呼ばずに何と呼ぶ?」
「…おとなしく聞いていれば!!」
「おや?図星っぽいな。さてはお前の本体も大したことないんだろうな」
「よろしい、ではその挑発に乗ってさしあげましょう!!」
ロキはソフィアに向かい攻撃を仕掛けようとした。
「…わかりやすい…な!!」
ラングもすぐに追いかけ後ろから剣でロキを突き刺した。
「な…何です?」
「お前、わかりやすくてやりやすい。これで更に本体は弱くなったのかな?」
「…さぁ、どうでしょうねぇ」
ロキの体は消滅した。
「すみませんでした。私がもっと多く魔法が使えれば」
「いえ!それはこれからです。徐々に行きましょう」
「ありがとうございます」
「それより」
ラングはナイア、トッドギース達の方を見た。
「あちらに加勢しましょう」
「…はい!!」
ソフィアはそう返事をしたが気になることが残っていた。
ローレライはどうなったのか。
周辺を見てみる。しかし姿を見つけることが出来なかった。
「…とりあえず残党を倒すことが先決か」
そう言った後にソフィアはナイアの元に向かった。




