#38 決着、そして
ラング達はザリドに向かっていった。
ラング、チマ、ソフィアが前線で自分の前にいるリザードマンを次々倒した後、わき目も振らずザリドへ向かって走った。
他のリザードマンはラング達を追いかけようとしたがバラガス、カフ、スタガが攻撃し倒す。
「ちっ!無効化か!でもこれが無くても俺は強いんだよ!!」
ザリドが剣を抜いたがすでに遅かった。
チマが先にザリドの腹を連打、腹を押さえしゃがむザリドにラング、ソフィアの二人で剣を突き刺した。
「こちらは勇者ソフィアと私は魔王ラング、お前が相手に出来るわけがないだろう。気付いてなかったなら私としては幸いだったがな」
ラングは右側の口角を上げながらザリドを見下した。
「!!……そうか、そうだったか!!ハーッハッハッハッハッハッハッ!!」
ザリドの体は高笑いと共に消えた。
「終わったか。皆、無事か?」
ラングが振り返るとソフィアがラングに臨戦態勢だった。
「あなたが魔王!?今、ここで!!」
ラングは少し困惑した。
「えっ?ナ、ナイアさん?ちょっと!!」
ナイアがすぐに寄ってきた。
「ソフィア、待つんだ!!すまない、あとで話すと言ってから話してなかったね」
「ど、どういうことですか?」
ナイアは自分が気付いたことをソフィアに話した。
「さて、ラングさん。説明していただけますよね?」
「わかりました、ではその前に」
ラングはザリドがいたところに歩き、魔石を拾った。
「ナイアさん、これが何かお分かりですか?」
「赤い宝石?それが何か」
「これは魔石です。魔界の武具に使うと性能を上げる効果があります。そしてこれは魔王の血族であれば」
ラングは魔王の剣の刀身に魔石を埋め込んだ。
刀身の光は更に強くなり、軽くなった。
「こうやって埋め込むことが出来るのです」
「魔界にはそんなものが…」
「ここからが問題です。今私が持っていた魔石はザリドから出てきました」
「あぁ、あの子達が言ってた魔石による強化というのはそういう事かい」
ナイアはチマ達が言っていたことを思い出した。
「しかし魔石を体に埋め込むというのは大変危険で本来なら行われてはいません」
「では何故?」
「大魔王ニールキース、私の父なのですが彼がやったことだと思っております」
「魔王の血族にしか出来ないと先程言っていたからねぇ、ラングさんは知らないのかい?」
「私もルードを倒したときに初めて知りました。そしてザリドのあの能力。私は父が何をしたいのかが知りたいと思いました」
「それが目的で人間界に来たと?」
「いえ、元々は父より人間界の偵察をしてくるよう言われ来たのですが、私は元々人間界に興味があり美味しいものが食べたいと思っておりまして。実は目的のほとんどがそれなんです」
「美味しいもの?」
ナイアの眉間にシワが寄った。
「はい。しかしコボルドにリザードマンと魔石を埋め込まれたはぐれ魔族の存在を知ってしまった。これはもう見て見ぬふりは出来ない事です。だから私は父の真意が知りたい、いつやったのか何故はぐれ魔族に魔石が埋め込まれていたのか。もしかしたら帰れなかったのではなくわざと帰さなかったのではないか」
ナイアは頷きながら聞いたあと
「なるほど、それで戦いの最中に言っていた今後の考えというのは?」
「細かいところまで聞いていらっしゃいますね」
「えぇ、それなりに人生経験ありますから」
フフフとナイアは笑った。
「簡単な話、協力しませんか?」
「協力、ですか?」
「ソフィアさんは勇者、はぐれ魔族は倒さなくてはいけませんよね?」
ラングはソフィアを見た。
「えっ、はい…それはまぁ」
「私も魔石の事が知りたい。目的は同じじゃないですか?」
「しかし具体的には?」
「今の私は魔王の魔力が外に出ている状態です、今ここに私がいることははぐれ魔族達は気付いているでしょう。そしてクロが言うには私の血は恨まれている」
「……そうか、近くにはぐれ魔族がいればラングさんの元に来るか、もしくは何かしらのアクションを起こしてくる。と」
「そうです、そしてソフィアさん達はそれを倒す。まぁその前に私に話をさせていただきたいとは思うのですが」
ナイアは考えた、確かに悪い話では無い。それにこれから先ザリドのような敵を相手にするとなるとソフィアと二人では厳しい。
ナイアは一つ提案をすることにした。




