#35 ナイア、思慮深く
ラング達と別れたソフィア達は右側の道を進んでいた。
「ここまで来ると灯りがあるんですね。確かにこちら側にいそうですね」
通路の壁には点々と灯りがあり、松明が無くても充分だった。
ナイアは考え事をしていた。
キオールの人達から聞いていた話では確かに敵は少数ではないとは思っていたが全体魔法を使えるかどうか等を聞く必要あるほど敵は多いのか。
何やらボソボソと話していたが何か企みの為にこちらの情報を探ったのではないか。
「ソフィア、あのラングという者。少し警戒した方がいいかもしれないよ」
「ラングさんを?確かにちょっと嫌な感じの人だけど」
「そうじゃない。何か企んでいる気がするんだよ」
「仲間を助ける事では?その為に私達を利用しようとしているのであればそれはそれでいいんじゃないですか?」
「それだけならいいのだけれどね。とりあえず警戒するに越したことはないからね」
「わかりました。先生がそう言うのなら」
しばらく歩くと広い空間が見えた。多少の暗さからよく見えなかったが目を凝らすと檻のようなものが見える。
「おや?あのピクシーの子が言ってたのとは違うみたいだねぇ」
「嘘だったと言うことですか?」
「考えられるとしたらあの子もここの一味か、もしくは単純に情報が古かったか。まぁとりあえず誰かいたらラングさんの仲間かもしれないから助けるとするかね」
ソフィア達が近付くと人影が見え、更に近付くとそれは人間では無いことに気付く。
檻の中にいたのはコボルドだった。
「なんでコボルドが捕まっているの?ラングさんが助けに来たのってコボルドじゃないですよね?」
ソフィアがナイアに話している事がチマに聞こえた。
「ラング様!?ラング様を知っているんすか?」
チマが檻の手前まで来て手すりを持ちながら必死の形相で話しかけた。
「えっ、ええ。えっラング様?……私達とさっきまで一緒だったけど別れ道で別れたわよ?」
チマの後ろにいた三人のコボルドも手前まで来た。
「まずいです!あちらはボスがいる部屋に通じている!あの事をお伝えせねば!!」
「ここから出してくださいっす!」
ソフィアはいきなり目の前に四人のコボルドが来たので少し驚いたが
「それは出来ないわ。私は魔族を倒さなければならない。私は勇者になるのだから」
「勇者……」
チマはそれ以上何も言えなかった。
数秒沈黙した後
「ならば先にラング様と共にリザードマンを倒させてほしいっす、あの事を伝えないといくらラング様でも。あなた方も一緒に戦ってほしいっす」
「我々が頼むことではないと言うことは重々理解しております。ですがここは何とかお助け願いませぬか?」
バラガスも懇願した。
ナイアは近付き話し始めた。
「先程から言っているあの事とは?」
「リザードマンのボスは力や速さ等を一時的に超強化する能力を持っています、しかもそれを周りにも付与することが出来、見た目では何も変わらない為突然背後に回られたりするのです。私達もチマ様もそれでやられました」
「リザードマンにそんな能力が?突然変異かねぇ」
「恐らく魔石っす、ルードと同じように魔石で強化されてるんす」
「魔石?強化?」
ソフィアには理解が出来ない話だったがリザードマンの事を聞く限り確かに厄介だとは思った。
「私達を倒すならそれでいいです。ですがまずはリザードマンを倒すことにご協力を願えませぬか?」
バラガスは頭を下げチマ達も続いて頭を下げた。
「しかし」
ソフィアは困惑した。
その横でナイアは何かに気付いた。
「なるほどねぇ、そういうことかい」
ナイアは今までの情報からラングの正体に気が付いた。だが何故魔族を倒す?何故コボルドは捕まっている?何故仲間と呼んでいて助けに来ている?魔族も一枚岩ではないかもしれないと考えた。
「先生?」
「いいよ、一緒に行こうじゃないかい。何より話を聞く限り私達だけじゃ厳しそうだしね」
「先生、それでは!」
「良いんだよ。わけは後で話す」
ナイアは確信を得る為にチマ達とラングの元に向かうことに決めた。
ナイアは鍵開けの魔法『アンロック』を唱えチマ達を出した。
「ありがとうございます!!」
檻から出たチマ達は二人に頭を下げ走り出した。
「あっ、ちょっと!!」
「私達も急ぐよ。それにしてもよっぽど慕われているんだねぇ」
「えっ?」
ナイアは走りだし、その後ろをソフィアが追いかけた。




