#34 キサの作戦
「ソフィアさんは魔力が低いのですか?」
クロはナイアに疑問に思ったことを聞いた。
「いえ、潜在魔力は相当なものです。勇者の血族なんですが元々アーサー様も魔法が使えなく精霊から授かって使えるようになった事もあり、もしかしたらソフィアも精霊に会わないと開花しないかもしれません」
「なるほど、そうですか…」
一行は先に進んだ。
道中ラングとクロは小さな声で話し始めた。
「ラング様もしかしたらここで倒しておいた方がいいかもしれません」
「あぁ、私もそう思っていたところだ。ただあのナイアという者の力がわからん。」
「そうですね、勇者と一緒に行動していて先程から勇者よりも立場が上に感じる言動もありますし」
「…様子見だな。とりあえず今はリザードマンだ」
「ですがこのまま行くとやはり戦いは避けられないと思います。コボルドを助けるわけですから」
「そこなんだよなぁ。探れないか?」
「ちょっと聞いてみましょうか」
クロはナイアに近付いた。
「どうかしましたか?何やらボソボソと話していましたが」
ナイアは気になっていたようでクロは先手を打たれたと思った。
「失礼、伝えておくべきことではないか?とラング様と話していたのですが、キサから聞いた話ではリザードマンの数は相当多いらしいのです」
「そうなんですか?」
「はい、なので全体魔法や補助魔法が大事になると思うのです。先程補助魔法の話をされていたのでどういった魔法を具体的に使えるかお聞きしたく。お恥ずかしながら我々は基本的に攻撃魔法しか使えないもので」
ラングは大方の魔法は使えるのだがそこはクロは言わないことにした。
「そういうことですね、私は全体補助魔法は一通り使えます」
「攻撃魔法はどうですか?」
「全体魔法で言えば爆発系のエクスプロージョンを使えます。あとは範囲系でしたら全属性使えます」
クロは予想してたよりも相当な腕のナイアに驚きながら平常心を保つように気を付けた。
「そうでしたか。お二人に出会えたのが本当に幸運です。是非ともよろしくお願いします」
「いえいえ、こちらこそよろしくお願いします」
クロとナイアの会話を聞いていたラングはすぐにここで戦いはやめておこう、何か方法を探さねばと思っていた。
ただクロと話し合うのはもう言い訳が聞かない、別行動も出来ない。
ラングは澄んだ顔を保ちながら頭の中で色々と考えたがやはり良い方法が思い付かなかった。
クロはラングの元に帰った。
「ここでというのは得策じゃないな」
ラングの小さな声にクロは頷いた。
全てを聞いていたキサが話し始めた。
「私に任せて」
「ん?」
「まぁまぁ、もう少し進んで」
一行が更に進んだところで別れ道があった。
キサが全員に話しかけた。
「あたし、一度ここに来たから知ってる。右に行くとリザードマンが集まって話す場所、左に行くと牢屋よ」
クロは不本意ながら合わせた。
「すみません。我々は牢屋の方に行っても良いですか?お二人には先に右側を進んでいただいて先に状況を確認していただきたいのですが」
「失礼、捕らわれた仲間が心配なもので一刻も早く助けたいのです」
ラングも合わせたがナイアも提案した。
「ですがそちらに多くのリザードマンがいたらどうするのですか?」
「その際はお二人と合流します。どちらにせよ作戦を立てなければならないと思いますので」
「わかりました。そういうことでしたらこちらも右側を進んでから戻ってきます。ここで落ち合いましょう」
クロは焦った。ここで会うことになったら全てが無駄になる。
キサはクロに
「そのままで大丈夫」
と小さく言った。
「はい、それでいきましょう」
クロは若干ハラハラしながら話した。
一行は別れ、それぞれの道を進んだ。
「キサ、大丈夫とは?」
当然ながらクロは問いかけた。
「右側は何も無い部屋なの、誰もいないわ」
「!!、…なら尚更!」
「大丈夫、左側はリザードマンのボスがいて牢屋もある広い部屋、そしてその部屋から外に通じてるのよ」
「……つまりチマ達を助けて外に逃がすのが最優先と?」
「そういうこと。出来るでしょ?」
クロとキサの会話を聞いたラングは考えた。
「出来なくは無いとは思うが。時間との勝負だな。だとしたら急ごう、キサありがとう」
ラングはキサにお礼を言ったあと急ぎ走った。その後ろ姿を見たキサは
「やっぱりあの人面白いかも」
笑顔でラングを追いかけた。




