#33 勇者の実力
ラングは勇者がこれなら楽勝だよな?と思っていた。
「失礼ながらまだ貴殿には魔族討伐には早いかと。私に任せてもらえませんか?」
「そ、そそそそういうわけにもいきません。わ、私も行きます!」
「そんな状態でいざというときどうするのですか?」
「…いざというとき?」
「死ぬかも知れないときです」
「………」
ソフィアは何も言えなかった。
横からナイアが話始めた。
「申し訳ない、今はこの子に色々と経験をさせる段階なのです。よろしければ一緒に行ってはもらえませんか?もちろん私の魔法でも補助しますので」
今まで黙っていたクロが話し始めた。
「補助魔法をお持ちなのですか?それでは攻撃魔法も?」
「基礎的な魔法は一通り。全体効果も持っております。一緒に行っていただけませんか?」
ラングは考えた、この経験から勇者が成長するのではないかと。
しかしチマ達を助ける事が最優先だという結論に至った。
最悪、この程度ならその場で倒せるとも。
「わかりました。こちらとしても仲間を助けたい思いが強いので協力していただけると助かります」
「ありがとうございます」
ナイアは頭を下げた。
「では行きましょうか」
ラングが進もうとすると
「あ、あの松明は?」
ソフィアはラングを引き留めた。
「松明?何ですか、それ?」
「中は暗いので灯りが無いと……」
「ほぉ、あなたはまだその段階でしたか」
「えっ?」
『アライト』
ラングが魔法を唱えると少しながら辺りが明るくなった。
「失礼、魔力を抑え込むようにしているのでこの程度しか明るく出来ませんが」
「い、いえ、充分です。ありがとうございます。」
ソフィアはラングの後ろを歩きながら思った。
こいつ、感じ悪い。嫌い。
洞窟を少し進むと広い空間が見えた、そこにリザードマンが二人おり当然こちらに気付いてしまった。
「ちっ、やるしかないか」
ラングが剣に手をやろうとした時に後ろから一人走っていった。
ソフィアだった。
「おいぃぃぃぃ!!何一人で突っ込んでるんだ!!」
ラングは叫んだが次の瞬間衝撃の光景を目にした。ソフィアは瞬く間にリザードマン一人を倒し、もう一人の攻撃をかわしてから胴体に剣を貫いた。
勝負は簡単に決着した。
ラングは到底上手とは言えない笑顔で
「つ、強いのですね。ソフィアさん」
「はい、剣に関しては昔から訓練を重ねていましたから」
「と、すると魔法が少し不得手という事ですか?」
「そ、そうですね」
「そうでしたか……」
「あの?何か……」
「し、失礼。初めてお会いしたときと印象が違ったもので」
ラングは少し焦った。ソフィアの事を完全に下に見ていたはずが戦闘になるとああも変わるのかと。
もしかしたらここで始末しておかなければならないかもしれないとソフィアに対する認識を改めた。




