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魔王は3LDKに住みたい  作者: 海鮮メロン
29/70

#29 魔王はお金を手にする

ラングはリアナに連れられて鍛治屋に戻った。


「おや、ラングさんいかがされたんで?」

アキリスは驚いた顔をしていた。

「い、いや、それが…」

リアナがすぐに割って入り事情を説明した、心なしか鼻息が荒いようにラングは感じた。


「ほぉー、そうでしたか。……リアナ落ち着きなさい。ラングさんが戸惑うのも無理はない」

アキリスにそう言われたリアナは我に返りラングと初めて会ったときと同じ印象に戻った。

リアナはすぐに頭を下げた後に奥に引っ込んでいった。


「すみませんラングさん、俺も含めて全員焦って節操が無くなってしまいまして」

「…いや、いいんだ。それだけ辛いというか厳しいのだろ?」

ラングとしても魔族、しかもニールキースが大元である原因によって街が今の状態にあることを申し訳なく思っていた。


「ただ、リアナさんから言われたことも事実なわけだし買い取りというものをしてもらえるなら私としてもありがたいのだが」

「えっ?ええ、それでしたらこちらとしても是非とも。ラングさんならより高く買い取らせていただきますよ」

アキリスはリアナを呼んだ。

「ラングさんから買い取って欲しいとおっしゃっていただいたから宜しく頼む」

「はい!是非!!」

リアナはウキウキしながら宝石を鑑定し始めた。


「リアナは宝石が好きでね、色々と見るたびに目が肥えちまったみたいなんですわ」

リアナは次々と宝石を鑑定していったのだが急に動きが止まった。


「ん?どうした?リアナ」

「………ごめんなさい、これはちょっとわからないわ」

リアナは手に持っていた青く丸い宝石をアキリスに見せた。

「確かにこれは見たことないな、輝きも無いし」

ラングもその青い宝石を見た。

「珍しいものなのか?」

「いえ、珍しいというよりか宝石としての価値が私にはわからないのです」

「つまり買い取れる物では無いと?」

「ごめんなさい、そうなってしまいます」

リアナはラングに頭を下げた。


「い、いやいやいや、それならそれで別にいいんだ。じゃあ、これはこのまま持ち帰る事にしよう」

「あの、他の宝石は買い取らせていただきますので」

アキリスが横から口を挟む。

「リアナ、わかってるよな?ラングさんから買い取るのだからな?」

「わかってますわ、全部で一万ゴールドで買い取らせていただきます」


「……?」

ラングはきょとんとしている。


「えっ?あっ、ごめんなさい、少なかったかしら」

リアナは焦った表情でアキリスとラングを交互に見た。

「い、いや、すまない。実を言うとそういう事の知識に乏しくて一万ゴールドがどれだけの価値なのかがわからなかったのだ」

「は、はぁ…」

「……例えば街の入り口近くにある店のパフェならどれだけ食べられるのだ?」

「あー、あのパフェは確か五百ゴールドだから二十杯分ですね」


ラングは先程と変わって目を見開いて口が開いた。

「!!!そ、そんなに食べられるのか!?」

「えっ、ええ…」

アキリス夫妻は少し引いている。


「いやいやいや、そんなにお金をいただいてしまっても良いのか?」

アキリスは笑った。

「ラングさんだからですよ、恩人なんですから」

「い、いやしかしそれはちょっと…」

コボルドの件、ニールキースの件もあるためラングは腰が引けていた。


「ラングさん、貰っていただかないとこっちが困ります。我々はあなたに感謝をしているのですから」

「いや、しかし…」

ラングが困っているとクロが。

「ラング様、これはいただかないと失礼になります」

「…そういうものなのか?」

「はい、そういうものです」


ラングは少し考えた後に

「…わかった、では一万ゴールドをいただいてもよろしいか?」

「はい、是非に!!」


リアナはすぐに裏に行きお金を持って戻ってきた。

「それではこちらが一万ゴールドです」

ラングはリアナから一万ゴールドを受け取った。

「……」

「ラ、ラングさん?」

アキリスは少し戸惑った。


すかさずクロがフォローに入る。

「すみません、実を言うとお金を見るのも初めてなのです。なのでちょっと固まっております」

「はぁ…そうなんですか…失礼ながら今までどうやって生活を?」

「申し訳ありません、そこは話せない事情がごさいまして」

「そ、そうでございましたか……いやいや色々な人生がありますからな!」

アキリスは大袈裟に笑った。


「アキリスさん、このお金で美味しいものを買いたいのだがどこで買えるだろうか?」

ラングはチマ達と一緒に美味しいものを食べる約束を果たしたかった。


「申し訳ない、度重なる襲撃で我々もろくに食事が出来ていない状態なんですよ。ラングさんが言うようにコボルドが倒されているのであればこれから色々と買えるようにはなると思うのですが」


ラングはやはり腰が引けた。

「や、やはりそうだよな。いや、本当にすまなかった」

「なんでラングさんが謝るんで?」

しまった!!とラングは慌てた。

「い、いや、少し考えればわかることを聞いて申し訳なかったという意味で」


「あぁ、いえいえ、気にはしませんよ」

「そ、それでは私はそろそろ行くとするよ」

「はい、ではまたお待ちしておりますので」

ラングとアキリスは互いに頭を下げ、ラングは拠点に帰ることになった。


「何も買えなかったこと、チマ達になんて言おうか…」

ラングは少しだけ帰りたくなかった。

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