#27 魔王と人間
ラングは諦めかけていたが一本の短剣が目に入った、錆びが酷く持ち手の劣化も激しいが妙に目につく短剣だった。
その短剣を持つと特に反応は無かったが妙に気になり色々な角度から見ていると次第に青白い光が灯って来た。
「光った…!光ってる!!」
シマジが興奮気味に話す。
やがてその光は強くなり鍛治屋内どころか街中にまで光の影響が及んだ。
強く光ったあと短剣は朽ち、ラングの足下に青い石が転がった。
「これは魔法石、魔法石ですよ!ラングさん!!」
アキリスは喜んだ、これでお礼が出来ると思った。
「ところでラングさん、なぜ魔力が込められた杖を?」
シマジは今更ながら疑問に感じた。
「えっ、えーと、それはだな」
ラングは見事に言葉に詰まった、横からクロが話し始める。
「お恥ずかしながら貧乏旅をしているもので出来る限り魔力を温存しながら旅を続けたいのです」
「あぁ、そういうことなんですね、宿に泊まるのも食事もお金かかりますものね」
「バカヤロウ、お客様に恥かかせんじゃねえ!申し訳ありません、お話ししたくない事もございますよね」
「い、いや構わないが」
「いやー、先程からなんと心の広い方か、このアキリス全身全霊をかけて杖を作らせていただきます」
アキリスはラングに細かな要望を聞き、それを書き留めた。
「申し訳ないですが3日いただいてもよろしいですか?」
「ああ、わかった、ではまたその頃にここに来るという事で良いか?」
「はい!最高の杖を作らせていただきます!!」
アキリスはシマジに色々と指示を出し始めた、シマジも素早く動き、やがて二人は仕事を始めた。
ラングはその光景を見て、ではまた来ると言い残し鍛治屋を後にした。
「さて、食べるものをどうしたものか…」
ラングが鍛治屋を出て小さく呟いたところでいくつかの視線に気が付いた。
周りを見ると壁に身を隠し覗き込むように見ている人達が数人。
どうやら先程の光を不思議に思い、見に来たはいいがラングを警戒しているようだ。
その中にいた小さな男の子にラングは手を振った、男の子は急に表情が明るくなりラングの元に走ってきた。
「お兄ちゃん、旅の人?」
「そうだよ」
ラングは笑顔で答えた。
するとその後ろから一人の大人が走ってきた。
「こら!知らない人に近付いちゃいけません!」
恐らく男の子の親だろう、ラングに対し警戒心を持っていた。
すると少し騒がしく思ったのか鍛治屋のリアナが外に出てきた。
「まぁまぁどうしたんですか?」
リアナはラングに話しかけた。
ラングが答える前に男の子の親がリアナに話す。
「リアナさん、この人は何なんですか?さっきの光は何ですか?」
「あぁ、この方は…」
リアナは事情を説明した。
ーーー。
「じゃあリアナさんは盗られた指輪が返ってきたって事ですか?」
「えぇ、そうなんですよ、本当に感謝しています」
ラングは考えた、ここでこの宝石の持ち主を探して返せば警戒は解けるのではないか。
「失礼、実は他にも色々とあって持ち主の方がいればお渡ししたいのだが…」
リアナがパンッと手を叩き
「そうね!それがいいですわ、ではここでは狭いので中央広場に行きましょうか?」
リアナは周りの人達に呼びかけ、更に街の人達に広場に来てもらうよう伝えてほしいと頼んだ。
「じゃあ私達も行きましょうか、あっ、その前にカバンの中身の物を広げる為の敷物を持ってきますね」
「あ、あぁ。」
リアナは鍛治屋に帰り、すぐにラングの元に戻ってきた、その後ラングはリアナに付いていくように広場に向かった。




