#26 魔王は証明が出来ない
ラングはどこから話そうか少し悩み
「私は世界を旅している魔法使いなのだが先程コボルドの集団に襲われた、その集団と巨体のコボルドを倒したのちにここの街に辿り着いたのだが掲示板を見て、もしかしたら私が倒したコボルドがそれなのかと思い話を聞こうとここに来た」
ハラハラしているクロを横目にラングは話をした。
「はぁ、しかしそれでは本当に倒していただけたのかわからないので……」
アキリスは困っている。
ラングはカバンを開け宝石を見せながら
「そのコボルドが持っていたカバンなのだが、これでもダメだろうか?」
アキリスはカバンを覗き込み、いくつかの宝石を掬った。
「!!」
アキリスは驚いた顔をした。
「おーい!リアナ!リアナ!!」
すぐに奥にいる誰かを呼んだ。
「何ですか?」
「ちょっとこれを見てくれ、盗られた指輪じゃないか!?」
リアナと呼ばれた高齢の女性にアキリスは一つの指輪を見せた。
「…はい!そうです!この指輪です!!」
リアナは指輪を手にすると涙を流し喜んだ。
その指輪は母の形見でとても大事にしていた指輪だとの事。
「お客様、ぜひお名前を教えていただけませんか?」
「…ラングと申す」
「ラングさん、ありがとうございます!…ですが、やはり倒されたとの証明には少し難しいかと」
「そ、そうか、やはり難しいか」
ラングは仕方ないなと店を出ようとした。
「お、おお、お待ち下さい!!」
ラングは立ち止まり振り返った。
「お礼をさせてください!是非とも」
「お礼?」
「はい、私は鍛治屋です、ラングさんの必要な物を作らせていただきます!!」
ラングはクロと目を見合わせた。
「必要な物…」
ラングには今現在重要な問題があった。
それは魔力を存分に使えないこと、もしそれをクリアするものが出来るのであればと考えた。
「一つ聞きたいのだが、魔力が込められている杖というのは作れるか?」
「魔力が込められた杖、ですか…」
アキリスは考えた、どうしてもラングにお礼をしたい、その思いしか無かった。
「金属製の杖でしたら作れるのですが魔力が込められているとなると…」
「すまん、やはり忘れてくれ、都合の良いことを言ってしまい申し訳ない」
ラングはやはり無理かと別の物を考えた。
「あのぉ、親方、魔法石を付ければいけるんじゃないですか?」
「バカヤロウ、それが無いから困ってんだろ」
「いや、もしかしたらあるかもしれませんよ?」
若い男性は奥に入っていった。
「おい!シマジ!何をする気だ?」
「まぁまぁ、待っててください」
「よいしょ、っと」
シマジと呼ばれた若い男性はしばらくしてから奥から廃材を大量に持ってきた。
「ここは使えなくなったものを処分します、だったり、買い取りますで色々な資材あるじゃないですか」
「だからそこには無いだろう」
「いえいえ僕は習ったことあるんですが魔法石は魔力を持った人が持たないと反応しないんです、ましてやしばらく使われないとただの石と見分けがつかなくなるみたいなんですよ。僕も親方も魔力無いでしょ?」
「確かに。そうか!ラングさんに色々持ってもらおうって事か!」
「そうです。ラングさん、お手数ですが宜しいでしょうか?」
シマジはラングの方を向き廃材に手を向けた。
「そういうことなら試してみよう、私にとっても大事な事だから」
ラングは廃材が置かれた場所に移動した。
上にあるものから順に持っていったが特に何か反応を示すものは無かった。
やはり無いのだろうか、鍛治屋を包み込む沈黙が尚更その思いを強くしていた。




