#23 クロの疑念
クロはとりあえず光る物体を隠し持ち、チマに話しかけた。
「チマ、何やらここに落ちているようですよ」
チマはそれを聞きルードの体が消滅した場所に移動した。
「カバン?っすね」
チマは開けてみた。
「わぁ、綺麗な宝石ばっか!」
そこには様々な装飾品が入っていた。
ラングはそれを見て何かに気付き、クロに話しかけた。
「もしかしてあの街の討伐依頼って…」
「えぇ、恐らく…いや間違いなくルードの事かと」
「バラガス、ちょっといいか?」
ラングはバラガスを呼んだ。
「ここに来る前に壁に囲まれた街を見たんだが、あそこ襲ってたか?」
バラガスは何かを言いかけたがそのまま下を向いた。
「……はい」
ラングは片手で額を抑えた。
「やっぱり……出ていた討伐依頼はルード含めお前達か……」
「そんなものが出ていたのですか?」
「あぁ、出ていた。いや、わかるぞ、今何を言おうとしたかはわかる」
ルードが指示を出して街を襲っていたのであろうというのは容易に想像できた。
クロがラングに近付いた。
「ラング様、よろしいですか?」
「ん?あぁ。バラガスちょっと待っててくれ」
ラングとクロは少し離れた場所に移動した。
「これをお見せしたくて」
クロは先程拾った物をラングに渡した。
「これは?」
「ルードが倒れた場所に落ちていました」
「ん?これ、どこかで…」
「それは恐らく魔石です」
「魔石?」
「はい、本来なら魔族が使う武具に施される装飾に使われます。魔王の剣の刀身にもついているものです」
ラングは思い出した。
「ああ!そうか!だから見たことあったのか!でも何故これがルードから?」
「魔石は本来武具に施されると魔石の力が作用して通常よりも強化された物になります。しかしそれがルードの体からとなると……」
「魔石の力でルードはあの巨体になったと?」
クロは頷いた。
「そう考えると説明がつきます」
ラングの頭の中に最悪の想定が生まれた。
体に魔石を埋め込まれた魔族。
そしてそれが出来るのは恐らくただ一人。
「い、いやいやいやいやいや、まさかそんな事…」
「するわけがないと言い切れますか?」
クロはいつにも増して問い詰める。
「どうした?急に」
「…いえ、申し訳ありません。少し疲れているようです」
クロは頭を下げ、ラングの元から去った。
しかしラングはクロが言いたいこともわかっていた、その可能性を否定出来ないことも。
ラングは魔王の剣を持ち、その刀身に魔石を埋め込んだ。
刀身の光は強くなり、手に持つ感覚は軽くなった。
「こういう風に出来るんだよな……」
魔王が扱えるその力を重々理解していた。




