#22 チマ、その戦い
バラガスは横を確認した後ハッと前を見た。
「ぉぉぉおおおおおおあぁ!!!!!」
チマが唸り叫び走った。
棍棒が振り下ろされる前にルードの腹に拳で一撃与えた。
「がはぁ……」
ルードは棍棒を落とし、両手で腹を抑えた。
「バラガス!!カフ!!スタガ!!こいつはラング様の敵っす!!話も聞かず攻撃してきた!同じコボルド族としてラング様に降りかかる火の粉を払うっす!!」
バラガス達は目配せをした後、それぞれ武器を構えた。
「はっ!仰せのままに!!」
チマ、バラガスを先頭にコボルド族は台形に並んだ。
「ラング様はそこで見ててくださいっす!」
「コボルド族の為にお手を煩わせるわけには参りません」
チマとバラガスの言葉の後に4人のコボルドはラングに向かい頷いた。
「わ、わかった。よろしく頼む」
ラングはチマ達の力強い言葉に頷くことしか出来なかった。
体が大きくなり速さを失ったルードに対してチマは絶大な強さを見せつけた。
元々速さを極め、そして速さを捨てた一撃の相反する強さを武器としていたチマは力しかないルードに対し有利に戦況を運んだ。
そのおかげでバラガス、カフ、スタガはルードがいた奥に進軍し、後ろの雑兵ともいえるコボルドと対峙することが出来た。
そもそもコボルド達の中にはチマがルードに与えた一撃ですでに戦意を失ってる者達もおり、その者達は武器を捨て後ろに下がっていた。
残って戦う者もバラガス達からしたら造作もなく倒せる相手であったが為に短時間で四対一の図式になった。
ルードの周りを囲むように構える四人。
決着は一瞬だった。
先程和解した関係にも関わらず見事な四人連携攻撃を仕掛けた。
ルードはその場に倒れ、そして絶命した。
魔族には死んだ後に魂が運ばれる場所がある。
その者の行いに応じて再び生を受けるかそのまま消えるかのどちらかにある運命にある。
ルードから出た魂がどこかに飛んでいき、その体は消滅した。
「……やったっすね」
「はい、チマ様」
四人はそれぞれ目を合わせ、にやけ、そして笑った。
その近くに武器を捨てたコボルド達が近付いた。
「我らはチマ様の元でこれから生きていく、そなたらも共にどうだ」
バラガスが問いかけるとすぐにコボルド達は頷いた。
チマを先頭にコボルド達がラングの前に近付いた。
チマが跪くと続いて全員が跪いた。
「ラング様、今よりこのチマ以下コボルド族は改めて魔王ラング様にお仕えいたしたく存じます」
「……あぁ、わかった!是非ともこれからよろしく頼む!!」
「はっ!!」
こうしてラングの元にコボルド部隊が出来上がった。
ラングとコボルド達が握手したり話したりしている最中、クロはルードの体が消滅した場所に不思議なそれでいて禍々しく赤い光を放つ物体を見つけた。
近付くクロ。
「これは…、まさか……」
クロは怯えた、自分が見つけた物と合わせる知識が正しければそれは到底許容しかねる物であったからだった。




