#21 魔王の思い
バラガスはラングにこれまでの事を事細かく話した、ラングは話を聞くうちに涙を流していた。
「すまなかった、誠にすまなかった。貴公らに比べ私はなんと浅はかに暮らしていたか…」
涙を流すラングの姿にバラガス、カフ、スタガは戸惑うばかりだった。
それと同時にこの人は恨むべきではない。恨むべきはニールキースだけなのではないか?と思い始めていた。
その後ラングは自分が人間界に来た目的を話した。
ラングは個人的な目的も隠すことなく話した。
バラガス、カフ、スタガは話を聞き驚いたが顔を見合わせた後に頷いた。
「ラング様、今までの御無礼を承知で申す。是非とも我らを配下に加えてくださらんか。もちろんチマ様の下として異論無き」
バラガスはラングに頭を下げた。
ラングはチマを見た。
「…わ、私は別にいいっすけど」
「うん、前はいまいち感情がわかりづらかったから今後はその言葉遣いで良い。魔界の時は無理をしていたんだろう?」
「……はいっす」
チマは恥ずかしそうに返事をした。
ラングは少し晴れやかな気分になった。
クロの進言に悩んだ後にチマの行動に決断もしたが、やはりこういう形が望ましいと嬉しく思った。
ラングは立ち上がった。
「これからよろしく頼む」
ラングは手を差し出した。コボルド三人も立ち上がった。
ラングはバラガス、カフ、スタガそれぞれと握手をした。
「チマ、君もだ」
「…はいっす」
チマはやや重い足取りで三人に近付いた。
チマに対してバラガスはまず頭を下げた。
「チマ様、御無礼をお許しください。我ら三人これからはチマ様、そしてラング様の為に働きます」
「い、いやいやいや、いいっすよ。頭上げてください」
チマは気恥ずかしそうに近くに寄った。
「これからよろしくっす!」
笑顔でバラガスに手を差し出した。
その後三人と握手を交わし、四人のコボルドは笑顔になり自然と輪を作った。
ラングはその光景を微笑みながら見た後、クロと笑い合った。
しかしラングが求めた光景を壊す出来事が起きた。
遠くから木が倒れる音が森に鳴り響いた。
そしてそれは徐々に近づいてきた。
「バラガス!!何をしている!!」
怒鳴り声とともに巨体のコボルドが歩いてきた。
その後ろにはざっと見て10人ほどのコボルドがいる。
「ルードさん……」
バラガスは少し怯えている。
「何をしていると聞いている!!さっさとこいつらを始末するんだ!!」
コボルド ルード
魔界に帰ることが出来なかったコボルド、一族では有り得ないほどの体の成長、力を武器にはぐれコボルドのボスとなっている。
「違います!この方達はルードさんがおっしゃってる方とは違います!!」
ルードは聞く耳を持たない。
「こいつからは魔王の魔力を感じる!!何が違うんだ!!」
「この方は魔王ラング様、私達の今までの境遇をお聞きくださり、更に謝罪までしてくださった方です!!ルード様が日頃話されている人とは違います!!」
ルードは激情した。
「何を言っている!!魔王の血族には変わりない!!」
ルードは持っている棍棒を振り上げた。
「まずい!」
バラガスは咄嗟に頭に両手を被せた。意味が無いことはわかっていた。でも今はこれしか出来ることが無かった。
次の瞬間、バラガスの横を一つの影が素早く動いた。




