41話
中間テストが終わり、ぼくはギリギリ赤点を回避できたのだが、1か月後には期末テストが待っている。しかし、ゲームも待っている。退院してからずっと勉強をしていたので、ゲームをする時間がなく、まだログインしていなかった。
(ってことでゲームする!)
期末テストが1か月後?ふん。知らないよ~。中間テストが終わってすぐに期末テストの勉強する人なんていないんじゃないの?天才吸血鬼サキュバス目指しているわけじゃないからいいや~。
ぼくは自分の部屋でそんなことを考えていた。そして、久々にVRヘッドを身に付けゲームをしようとするが、中間テストの問題とは違った難問に悩む。
ぼくは記憶をなくして、「moko」というキャラクターでゲームをしていた。それ以前では「もこ」でプレイをしていたので、どちらでするか困っている。もしも、「もこ」の方でゲームをしていたら、タイチに記憶が戻ったことを気づかれるかもしれない。よって「moko」の方でプレイをすることに。本当は「もこ」でやりたいんだけどね・・・。
ぼくは、VRヘッドを使い、ゲームの世界へ入り込む。
目を開けると、ぼくは自分のギルド、てぃらみすの家にいた。他には誰もいなく、ぼく1人がその場にいた。
(そういえば、ハルはどうしているかな?)
記憶喪失時のぼくは、ハルを放し飼いにしていた。記憶を持つぼくも含め、一般の人は使い魔が死ぬとプレイヤーのように生き返ることができないため、自分のログアウト時には、使い魔をボックスにしまうか、安全なところにいさせる。それを知らなかった過去の自分は使い魔を自由に行動させていた。それにより急速に成長を遂げていて、1か月の間、ぼくはログインをしていなかったので、どのくらい自分の使い魔がレベルを上げているかわからない。もしかしたら、クーのように死んでしまっているかもしれない・・・。
確認のため、ぼくはステータスを開く。
プレイヤー名:moko[lv10]
種族:魔法使い(風)
使い魔名:ハル[lv80]
HP130/130
MP500/500
力1
魔力50
速さ500※速さの基準100
スキル:竜巻 突風
装備:布の服 古びた杖
え・・・?80?!レイズさんと同じレベルじゃないか!!といっても、1か月前のレイズさんのレベルと同じ。マスターのぼくがまだ10レベなのに、80レベまで上がっているとは・・・恐ろしい犬だね・・・。でもまあ・・・生きていてくれてよかった・・・。
「ハルー。おいで」
ぼくは外に出て自分の使い魔を呼び、すぐにハルがやってきた。
「主。お呼びでしょうか?」
いつの間に喋れるようになっているんだ・・・この犬は・・・。それに、昔は狂犬の外見をしていたのに、今はたくましく見える。
「ハル、ログインできなくてごめんね?それと・・・なんでそんなに強くなったの?」
ハルの急成長の理由を聞けば、ぼくのレベル上げの方法につながるかもしれないので聞いてみることに。
「すべての大陸にマーキングをしたく、旅に出ていました。そのときに出くわしたモンスターを倒していたら強くなっていました」
ふむふむ。つまり、1人散歩していたら強くなったってことかな?あまり参考にならなかった。
「そ、そうなんだ。そのときにプレイヤーは殺してないよね?」
もしもハルがプレイヤーを殺した場合、殺されたプレイヤーはハルを恨むだろう。そして、その使い魔のマスターであるぼくが狙われるかもしれないので聞いてみた。まあ、ハルは大丈夫だろう。いくら狂犬だからと言って、人に噛みつくようなことはしない。だってぼくがマスターなんだよ?クーもいい子に育っていたし、育てるのには自信があるんだ。えへへ。
「・・・」
あれ?ハルさん?なんで黙っているの?もしかして、まだ喋るのに慣れていないのかな?うんうん。これから日本語覚えていこうね!
「よしよし。良い子だね。ぼくは信じていたよ!ハルはそんなことしないもんね?」
「・・・。すみません。3人ほど殺しました」
あら、やだ。この子ったら。3人ほどぺろぺろしちゃいましたって?いいんだよぺろぺろぐらい!
「そかそか。ぺろぺろもほどほどにね」
ぼくは何も聞かなかったことにした。そういえば、ぼくはハルを育てていない。ハルの親は記憶喪失のときのぼくだ。マスターはぼくじゃないよ~。
現実逃避をするぼくに
「主。今後は気を付けます」
と言っていた。まあ、言わなかった過去のぼくも悪いし、今回は許すとしよう!そう思っていたのだが、
「あ。見つけたぞ!この犬!!よくも!!!!」
どうやら、ハルに殺されたプレイヤーが復讐にきたようだ。こっちのキャラクターじゃ10レベだし、トランスもないし・・・。うん逃げよう。
10レべでも50レベでも基本速さは変わらない。このキャラは速さ500あるので、逃げるのには苦労しないと思う。
「主。逃げますか・・・?」
ハルは戦おうとしていたが、ぼくが逃げ腰になっていることに気づき、気を使ってくれた。雑魚のマスターですみません・・・。
「ハル。ギルドの人に迷惑をかけたくないの。もしも他プレイヤーの人をキルしてその人が復讐でギルドを襲うようなことになったら嫌なの」
ぼくはハルに説教をする。理由もなく襲っちゃダメ。元狂犬だからしょうがないのかもしれないけど、ぼくの使い魔として生きていくのだからちゃんとこのことは理解してほしい。
「わかりました。以後気を付けます」
ハルもわかってくれたようだ。クーと同じようにいい子に育てられそうだ。
「俺様を無視しやがって・・・。前のように勝てると思うなよ?女を襲うのに気を取られていただけだ!もうあんな油断はしねえ。ぶっころしてやらあ」
「ハル。戦うよ」
「主。ギルドの人に迷惑をかけないために戦わないのでは?」
「迷惑上等!!!!!!」
こんなクズ野郎と戦わないほうが怒られる。女を襲っていただって?本当に許せないやつだ!つまり、それを助けるためにハルはこいつらを殺したってことだね・・・?さすがぼくの使い魔!ん?育てたのは記憶喪失時のぼく?そのときの記憶あるもん~。だから、育てたのもぼくだよ~。
まあ、闘うといっても、闘うのはハルだよ?自分のケツぐらい自分で拭くのがこの世界では常識だからね。
ぼくはギルドの家のすぐ近くにある木に身を隠し、ハルの応援をする。
「がんばれーー!!」
応援されると力がみなぎってくるよね?応援こそが、ぼくの特殊スキルだ!!
このゲームにはそのようなスキルが存在しないのだが、精一杯ハルを応援するのであった。
前回に投稿は夜と言いましたが、書き終わったので先に投稿させていただきます。遅れてすみませんでした。
明日はいつも通り7時に投稿しますね。




