第十八話
残酷描写があります。苦手な方は読まないようにしてください。
DP:10245
ゴブリンの召喚にはDPが100必要です。召喚しますか?
ゴブリンを殺した時に手に入ったポイントが10だから、十倍もかかる。野生のゴブリンとは違い、ダンジョンマスターに忠実で、食事や排泄を行わないとはいえ、ずいぶんかかるものだ。一対一で戦わせたら、赤字になるだけだな。
うーん。
うーん。
駄目だわからん!
どうすれば最適とかどうでも良いや!
力こそ正義!
戦いは数だよ兄貴!
という訳で、立て続けにゴブリンを召還した。20体ほど。
後は待ち伏せ出来る広場を作って。
『敵が侵入してきました』
時間切れの様だ。
まあここまでやれば負ける事は無いだろう。
俺は推移を見守る事にした。
ゴブリンどもはまず偵察に数匹を送り込むようだ。
慎重に壁を伝いながら進んでくる。何やら声を掛け合っているようだが、ギャァギャァとしか聞こえない。
あれで意思の疎通ができているのか。
まあ動物の鳴き声なんてそんなものか。ってか、ゴブリンてのはどのくらい知能があるんだ?
体に着けているのは動物の皮だよな。手に持っているのは形を整えた木の棒。
…猿よりは賢い、のか?
まあ罠とかの頭脳勝負じゃないからな。安心の力押しだ。ゴブリンなりに、存分に知恵を使うがいい。
偵察隊のゴブリンたちは、ある程度進んだところで後ろに声をかける。その声を聞き、本隊のゴブリンたちも進み始めた。
自然の洞窟と同じく、水で削った岩の穴の様なダンジョンだから、ゴブリンたちの歩みは遅い。
やがて本隊と偵察隊は合流し、一緒に進み始めた。広間にたどり着く。
今までずっと狭い道だったせいで、ようやく見つけた広間に安心している様だ。
さて、では始めるぞ。
不規則に歪んだ壁には死角が多い。入り口から見えない場所から、一気に襲いかかる。
「グィァ!」
「ぎゃう!?」
「ぎゃぎゃ!」
こちらのゴブリンのときの声と、向こうのゴブリンの狼狽する声が交わされ、広間は一気に騒がしくなった。
元々数はこちらの方が多かった。さらに入り口付近に固まっていたところを、一体に対しこちらは二体であたる。
素手のゴブリンは二体で組伏せ、壁に顔を打ち付ける。
重そうな木の棒をもつゴブリンには、一匹が武器を奪おうとする間にもう一体が殴りかかる。武器を奪えば、それで頭を叩く。
そうやって、奇襲をかけられた敵は、俺が思っていたよりずっとあっけなく倒れていく。
味方側も多少の怪我を負ったようだが、一体も失う事なく勝ったのだった。
「…はぁぁぁ」
俺も気が抜け、大きなため息をついた。
ここのところ連続でトラブルに見舞われたせいで気が休まらない。まあ流石に今度こそダンジョンの方のトラブルは打ち止めだろう。
『人間がダンジョンに近づいています』
そんな甘い考えはナビの声で打ち切られ、俺はもはやため息も出ずに寝転がるだけだった…。




