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第十五話

気がついたら始業の鐘が鳴っていた。

お母様の魅力について、ついつい語り過ぎたらしい。アンが微妙な顔で「また後でね」と言っていたので、説明はまた後にすることにして、席に着いた。


授業の合間には休み時間がある。

トイレから戻る途中、次はお母様の何を説明しようかな~などとボーッとして歩いていたのだが、それが良くなかった。

曲がり角を急に曲がってきた男子とぶつかってしまった。

ゴツンッ、と結構な音が聞こえて、俺は派手に床に吹っ飛んだ。

くぅ~痛ったぁ…。

余りの痛さに動けずうずくまっていると、慌てた声が聞こえてきた。

「ゴメン、大丈夫!? …あっ…」

大丈夫な訳ないよ。痛いよ。超痛いよ。

涙目で抗議したいが、こちらもボーッとしていたのだ。余裕を持って許してあげるべきだろう。

そう思い、体を起こそうとして…。


スカートがめくれているのに気がついた。

ついでに、頭を押さえた男子がこっちを見てる。顔がなぜか赤いのは、顔がぶつかった訳ではないのだろう。


ああ、痛いよな。そりゃあれだけ音が聞こえてたんだから、結構な勢いだったはずだ。ここは喧嘩両成敗と言うことで許してやろうじゃないか。

そう思い、俺は口を開いた。


「死になさい!!」


氷魔法の熟練度が上がった! 氷魔法はレベルが3に上がった。


攻撃系の魔法はレベル1だと思いっきり殴った程度の威力しか出ないが、レベル3まで上がった俺なら、上手く当てれば骨は折れる。


ついカッとなってやった。今は反省している。



結局、教師が来てくれて、その場は収まった。

「ではアレイシアさん、ぶつかられてつい怒ってしまい、魔法を使ってしまったと、そう言うことですか?」

「はい。お父様にも殴られた事が無かったので、つい」

幸いにもここには木馬型の戦艦の艦長は居なかったので、俺の言い訳にも同情的な視線が集まった様だ。

いや、言い訳じゃないよ? ぱんつを見られてキレるなんて、そんな可愛らしい行動とか、まさかしませんよ。だから俺は余計な事は言わない。

「事故に対し、理不尽な暴力を振るってしまったことを反省いたします」

ぺこりと頭を下げると、男の子は許してくれた。

「いいよ。女の子の暴力は笑って済ませろって、お父様が言ってた」

凄いお父様だな!

「改めて名乗らせていただきます。私はレオンフィールド家次女、アレイシア・リル・レオンフィールドです」

「俺はウッドランド家のユリウス・カイ・ウッドランド」

なんとまあ…好色のウッドランド家か…。


ウッドランド侯爵家。

六歳の俺は流石に直接聞いた事はないが、それでも多少は話が聞こえてくる。

庶民はおろか隣国の王女にまで手を出して外交問題になりかけただの、その問題はその母親に手を回して解決させただの、嘘か本当かはともかく、ウッドランド家と言う家はとんでもないところの様だ。


そう言えばこいつも悪くない顔をしてるな。まあ魔法でボコったせいで腫れてるけどな。ケッケッケ。

イケメン滅ぶべし。

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