第十一話
「システム、起動。ダン…ジョン」
『おかえりなさい、マスター』
「ただいま、ナビ。今日の結果は?」
『本日は侵入者ありません』
現在のダンジョンを確認する。
階層:1
罠:隠し扉 闇の間
配下:幻惑蝶×10 眠り蔦×5 這いよる蔦×5
DP:10035
俺の運営するダンジョンは、入学してからも特にいじっていない。ほぼ一本道の通路に、所々で【闇の間】という、光を遮る空間を配置。幻惑蝶と眠り蔦を置き、闇に紛れて侵入者を眠らせて排除だ。
「そろそろポイントも使うかなあ…」
ダンジョンポイントの増やし方は3つほどある。
1つは自然増加。何もしなくとも一日に百ポイントたまるらしい。俺のダンジョンはほとんどこれだけでポイントを稼いでいる。
次に、ダンジョン内で生命体の殺害。これはある程度以上の大きさがあれば、野生の動物でも知的生命体でもポイントは増やせる。今のところ、ダンジョンにやって来た生き物は、全て追い払うだけに留めているが。
最後にダンジョン同士でのポイントの譲渡。俺は他のダンジョンの存在を知らないが、ダンジョンマスターの存在するダンジョン同士はポイントのやり取りが可能となる。お陰で出来立てのダンジョンといえど危険度が高い場合もある。
「うーん。ナビ、オススメのポイントの使い方はあるかな?」
『階層の増加が良いと思われます。5000DP必要です』
「やっぱりそうか…」
本来なら、強いモンスターを配置するためにも、階層を増やすのは必須だ。仕組みはわからないが、強いモンスター、危険な罠は入口から遠い区画でないと置けない。
そういう縛りがなければ入口のすぐ横にドラゴンとか配置したかったんだけどな。
うーん、と悩んでいたのだが、途中で思考は遮られた。
『生命反応を感知しました』
「おっと…何が来た? 鹿かな、熊かな?」
たまには人間も来るが、基本的には動物ばかりだったので、俺はどうせその辺りだろうと楽観視してたのだが…。
『ゴブリンです』
「マジデ?」
ついカタコトにナッチャッタヨ。
ゴブリンかー。
亜人と分類される種族で、人型の魔物と言える。成体でも背は一メートル二十前後、肌は緑色をしている、いわゆるザコ敵。レベル1のキャラが経験値を稼ぐにはちょうどいい程度の能力しか持たない。
この辺りに出るとは聞いたことないんだが。一体だけで来たところを見ると、群れからはぐれたのか?
もし、こいつを放置したら。
ゴブリンは人間を襲う。
成人が正面から戦えば、普通の人でもまず負ける事はないだろう。
だがもし子供と遭遇したら? 不意を打たれたら?
まず負ける事はない、すなわち、稀に負ける事もある、だ。
誰かに知らせる?
きっと聞かれる事になるだろう。
どうやってゴブリンを知った? 今どこにいる? と。
それはダンジョンを知られるリスクになる。
覚悟を決めろ、俺。大丈夫、戦力ははるかにこっちの方が高い。
大きく息を吸って、吐き出す。
「これは、俺の初陣だ!」




