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第十話

「アレイシア・リル・レオンフィールドの朝は早い」


「お嬢様? 急にどうなさったのです?」

「一度、言ってみたかったの」

ただいまの時間は午前五時。太陽が出てきたところだ。

まあ電気で簡単に明かりが作れた前世と違い、こちらでは太陽が出ている時間に行動するのは普通の事だ。だから、別に朝が早くはない。

「いつもは朝食の時間に起き出すリルお嬢様が…。確かに早起きされましたね」

「やめて」


リルは朝の鍛練を行う。まずはその為の準備だ。準備は大事だ。その後の行いの成否の八割は準備によって決まる。

「軽食を作りたいの。教えてくれるかしら」

「…。さすがです、お嬢様」

メイド長と料理! 成功! リルはハムサンドを入手! スキル「調理」の熟練度が上がった。「器用」が上がった。


それでは朝の鍛練に移ろう。まずはストレッチ。体の柔軟性を高め、ケガのリスクを下げると共に、体を目覚めさせる。

次に型の練習。手近な樹を目標として槍を打ち付けていく。

スキル「槍術」の熟練度が上がった。「体力」が上がった。

一時間ほど体を動かしたところで終了する。屋敷で軽く汗を流し、朝食だ。

お母様と食べる朝食は上手い。強くなって独り占めしたい。目指せ略奪愛。

「今日も頑張ってね~」

「はい、リルが強くなるのを待っていて下さいませ」

至福の一時が終われば、もう学園へと向かう時間だ。馬車に乗り、途中でアンを拾いつつ登校する。

あ、そういえば。

「算数の宿題を忘れてしまったわ。アン、見せてもらえる?」

「うん、わかった」

持つべきは友達だぜ。

「算数」の学習に失敗! 熟練度が上がらなかった。「知力」が上がらなかった。

「おはよう、アン、アレイシア。今日も仲がいいね」

「おはようございます、イース様」

「おはようございます」

イース王子は毎朝挨拶してくれる。始めの頃のぎこちない態度は落ち着き、今では旧知の間の様に気安いな。ま、権力を笠に無理を言わない王子様で良かった。

「社交」の熟練度が上がった。「精神」が上がった。

学園では当然ながら、他にも様々な授業がある。

「語学」の熟練度が上がった。「歴史」の熟練度が上がった。「地理」の熟練度が上がった。「知力」が上がった。


学園から帰っても、家庭教師との勉強が待っている。

貴族として学ぶ事も多いからな。

「礼儀」の熟練度が上がった。「ダンス」の熟練度が上がった。「知力」が上がった。「敏捷」が上がった。



こうして俺は毎日コツコツとステータスやスキルを磨いている。<新緑の儀>を受けた今では、成長が著しく早くなっているからな。ステータスも一日に1上げれば、年に300以上。十年で3000以上も上がる訳だ。継続は力なり。


…。


面倒くさい。

こうじゃないわ。ちょっとの努力で世の中と隔絶した強さを手に入れるのが転生者の特権だろ。修行パートとかいらないんですけど。

「チートをよこせ! ギブミーチート!」

『マスター。本日の活動を終了し、休息をとることを奨めます』

…ごめんよナビ。ダンジョンの運営もちゃんとやります…。

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