6・空腹
「クズめ・・・」
ふと見ると、突き刺さったモリの尻に、党のエンブレムがついている。
狩りは、国を挙げての行為なのだ。
女帝陛下による高らかな号令で、大規模にこうした蛮行がのさばっている。
ドラゴンハンターの中には、今や高級役人の身分を与えられる者もあるという。
エンブレムの下に、そんな何者かの名前が彫り込んである。
モリを撃ち込んだクソ野郎。
獲物が死ぬかも知れないのを承知で、よくもこんなひどいやり方ができるものだ。
「食いもしないくせに・・・」
ぐううう・・・
「あああ・・・腹が減ったよう・・・」
悶々と考えているうちに、気が遠くなりそうだ。
天空が丸い。
所どころに、細切れの雲がゆく。
その下にひろがる、ひび割れた平原。
遠く岩山のガレ場に取り囲まれたこのあたりは、広々と、延々と、地平がひらけている。
ドラゴンの亡骸の他には、砲弾を撃ち込まれた古い大穴が地肌をさらすきりだ。
海原のようにうねり波打つ、乾いた大地の奥に、赤茶けた山脈。
見渡すかぎりに、人工物はなにもない。
この分だと、あと数日間は食い物にはありつけまい。
「なんかないのかよう・・・」
ドラゴンの上あごに肩を入れ、こじ開けてみる。
・・・!
立派な牙のすき間に、肉片・・・かどうかはわからないが、得体の知れないものがはさまっている。
いい具合いにローストまでされている感じだ。
なんでもいい、空腹に耐えきれず、歯間からむしり取って口に放り込んだ。
しかし・・・なんだか妙なオイル臭がする。
「うええっ・・・くせっ・・・ゲホッ、ゲホッ!」
思わず吐き出した。
「火を噴いたな、こいつ・・・」




