5・狩り
それにしても、このドラゴンの骸のなんという大きさだろう。
この体躯が生き生きと躍動する姿を想像してみる・・・
それを思うと、死がどれだけ無念だったことか。
「せめて安らかにな・・・」
ぐううう・・・
しかし、そんな思いとは裏腹に、すきっ腹が臓腑をしぼる。
のどが潤ったせいで、よけいに口さびしい。
この平原に入ってからというもの、村という村が戦火に荒らされていて、ひとはおろか、動く影ひとつとして見かけることはなかった。
ここ数日の間は、イナゴの脚一本もしがんでいない。
かといって、ドラゴンを食べるわけにもいかない。
普通の神経のものなら決して口にできるものではないが、話に聞くと、その肉は硬くて繊維質で、三日三晩もかけて煮崩す必要があるという。
それでも野獣臭さが抜けないので、ハーブをたっぷりと加えてすりつぶし、団子にしてからさらに焼き焦がし、ソースまみれにして、やっと飲み下せるというほどのシロモノらしい。
つまり、食用にはまったく向いていないのだ。
それが美味いというのなら、百歩譲って、ドラゴンハンターの存在価値もあるというものだが、まったく、やつらの狩猟意欲は謎めいている。
「無駄死にかよ・・・くそっ!」
ドラゴンの腹に刺さったモリから血が滴り、肉が裂けて露出している。
この硬いウロコと、鋼の筋肉を突き抜くとは、いったいどれほどの大げさな機材を運び込んでいることか。
モリの太さときたら、ひとの手首ほどもある。
頑丈な金属製で、大仕掛けな射出装置から撃ち出されたものと見て間違いない。
モリの構造も相当にサディスティックだ。
よく食い込み、決して抜けないように、返しに工夫がなされている。
さらにモリ尻から伸びる縄には、びっしりと鋲が仕込んである。
鉄条網のようなこいつを絡めて身動きを取れなくし、獲物を衰弱させようというのだ。
殺戮を目的としたわけではなく、生け捕りにしたかったのだ。
そのわりには、相手の痛みに対しての配慮はない。




