たまには
今朝2000PVを突破していました!
いつもありがとうございます!
昼下がり。
俺と白雨は、いつものように縁側でお茶を飲んでいた。
庭先では風に揺れた蔦がさらさらと音を立て、木々の隙間から差し込む陽光が、穏やかな時間を作り出している。
「今日は風が気持ちいいね」
白雨は湯呑みを置き、目を細めた。
「そうだね。こうしてのんびり過ごすのもいいな」
「ふふ。私も好きだよ。このはと一緒にいる時間は、いつだって心地いいからね」
そう言って、白雨は俺の腕にそっと寄り添った。
最近は、こういうことにもすっかり慣れてきた。
白雨が甘えてくれるのは嬉しいし、隣にいると自然と心が落ち着く。
けれど、ふと思った。
いつも白雨から抱きしめてくれたり、寄り添ってくれたりしている。
たまには、俺からも何かしてあげたい。
そう考えると、少しだけ緊張してきた。
「……白雨」
「ん?どうしたんだい、このは」
「ちょっと、こっち向いてくれる?」
「……?ああ、いいよ」
白雨がこちらを向く。
俺は少しだけ迷ったあと、その身体に腕を回した。
そして、そっと抱きしめる。
「……えっ?」
白雨の声が、すぐ近くから聞こえた。
腕の中で、彼女の身体がぴたりと止まる。
顔を上げると、白雨は目を丸くして俺を見つめていた。
「……このは?」
「ん?」
「どうしたんだい?急に……」
いつも落ち着いている白雨が、珍しく戸惑っている。
その姿が少し新鮮で、思わず頬が緩んだ。
「いや、いつも白雨からしてもらってるからさ。たまには俺からもって思って」
「……そう、だったのかい」
白雨はそう呟くと、少し視線を逸らした。
よく見ると、頬がほんのり赤くなっている。
「……驚いたよ。まさか、このはから抱きしめてくれるとは思わなかったからね」
「そんなに驚くことかな?」
「ふふ。いつも私からだろう?」
「まあ、それはそうだけど」
「だから、少し不意を突かれてしまったね」
そう言いながら、白雨は俺の背中に腕を回した。
そして、ゆっくりと抱き返してくれる。
「……嬉しいよ、このは」
その声は、いつもより少しだけ柔らかかった。
「そっか。なら、よかった」
「うん。とても嬉しい」
白雨は俺の胸元に顔を寄せる。
いつもは俺が彼女に抱きしめられていることが多いけれど、こうしていると、なんだか立場が逆になったような気がする。
それでも、腕の中に伝わる温もりはいつもと変わらない。
そっと離れると、白雨が小さく口を開いた。
「……このは」
「どうした?」
「もう一度、してくれるかい?」
「え?」
顔を覗き込むと、白雨は少し照れたように微笑んでいた。
「せっかく、このはからしてくれたんだ。もう少し、こうしていたいと思ってね」
「……もちろん」
俺はもう一度、白雨を抱きしめた。
今度は、さっきよりも少しだけ強く。
白雨も嬉しそうに目を閉じ、俺の背中に回した腕に力を込める。
「ふふ……幸せだね」
「俺もだよ」
いつもは白雨がくれる温もりを、今日は俺から届けることができた。
それが思っていた以上に嬉しくて、少しだけ誇らしい気持ちになる。
これからは、こうして俺からも伝えていこう。
言葉にするのはまだ少し照れくさいけれど、抱きしめるくらいなら。
そんなことを思いながら、俺たちはしばらく抱きしめ合っていた。
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