再会
天空城アルカディア。
俺はアギトさんと一緒に、城の広間で過ごしていた。
白雨がこちらへ来ると聞いてから、どれくらい経っただろう。
窓の外を眺めては、つい白雨のことを考えてしまう。
「このは、そわそわしておるのう!」
アギトさんが楽しそうに笑った。
「そんなことないですよ」
「ほう? 先ほどから何度も窓の外を見ておるではないか!」
「……それは」
言い返せなかった。
早く会いたい。
昨日からずっと、そのことばかり考えている。
「ははは!まあ、気持ちは分かるぞ! もう少し待っておれ!」
アギトさんがそう言った、そのときだった。
広間の一角に、淡い光が浮かび上がった。
「おっ、来たようじゃな!」
光は少しずつ大きくなり、その中から一人の女性が姿を現す。
白い長髪に、黒い着物。
見慣れたその姿を見た瞬間、俺は思わず立ち上がった。
「白雨!」
白雨も俺に気づく。
そして、次の瞬間にはこちらへ駆け寄ってきていた。
「このは!」
白雨は俺の胸に飛び込むように抱きついた。
俺もすぐに両腕を回し、白雨の身体をしっかりと抱きしめる。
懐かしい温もりが伝わってくる。
たった一日ほど離れていただけなのに、ずいぶん長い時間が経ったように感じた。
「……よかった。本当に、よかった」
白雨の声が胸元から聞こえる。
「心配かけてごめん」
「ううん……君が謝ることじゃないよ」
白雨は俺の背中に回した腕に、少しだけ力を込めた。
「突然目の前からいなくなって……もう会えないんじゃないかと思ったんだ」
「白雨……」
「無事だと聞いてからも、ずっと落ち着かなかった。早く君の顔を見たくて、声を聞きたくて……」
白雨の言葉に、俺も彼女を抱きしめる腕に力を込めた。
「俺も寂しかったよ。白雨に会えないのが、こんなに寂しいなんて思わなかった」
「……そうかい」
白雨がゆっくりと顔を上げる。
その瞳には、安堵と喜びが浮かんでいた。
「もう少しだけ、このままでいさせておくれ」
「うん。俺も、もう少しこうしていたい」
そう答えると、白雨は安心したように微笑んだ。
俺たちはしばらくの間、互いの温もりを確かめるように抱き合っていた。
「おほん!」
不意に、すぐ近くから咳払いが聞こえた。
振り返ると、アギトさんが腕を組んでこちらを見ていた。
「感動の再会のところ悪いが、妾のことも忘れてもらっては困るぞ!」
「あ……すみません、アギトさん」
「なに、構わぬ! それより白雨嬢、よう来たのう!」
「ありがとう、アギト。あなたのおかげで、このはの無事を知ることができたよ」
「なに、当然のことをしたまでじゃ!」
アギトさんは満足そうに胸を張った。
白雨は改めて俺の方へ向き直る。
「それにしても、ここが天空城アルカディアなのかい?」
「うん。昨日からアギトさんに案内してもらってたんだ」
「そうかい。ふふ、楽しそうで何よりだね」
「はい! 妾の城は見どころがたくさんあるからのう!」
アギトさんは嬉しそうに笑った。
「白雨嬢も、せっかく来たのじゃ。ゆっくりしていくがよい!」
「そうさせてもらうよ」
白雨はそう答え、俺の手を取った。
「このは、あとで城を案内してくれるかい?」
「もちろん。俺が見た場所なら案内できるよ」
「ふふ。それは楽しみだね」
白雨の表情には、いつもの穏やかな笑みが戻った。
突然の転移から始まった騒動は、ようやく一つの区切りを迎えたのだった。
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