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プラント ~大妖の森で君と暮らす~  作者: 天鵞絨色の紫陽花
テラリア大陸編

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昼ごはん


昼前。


このはは居間で本を読んでいた。


窓の外からは、風に揺れる木々の音が聞こえてくる。


静かな時間を過ごしていると、台所のほうから、いつもより賑やかな物音が聞こえてきた。


「……白雨?」


気になって顔を上げる。


普段なら、昼食の準備はもう少し静かに進んでいるはずだった。


このはは本を閉じ、台所を覗きに行った。


「何してるの?」


「おや、このは。もう少しでできるから、待っていておくれよ」


白雨は振り返り、穏やかに微笑んだ。


台の上には、切り分けられた野菜や、普段より少し手の込んだ料理が並んでいる。


「……今日は、なんだか豪華だね」


「そうかい?」


「うん。いつもより気合いが入ってる気がする」


白雨は小さく笑った。


「たまには、こういう日があってもいいだろう?」


「それはそうだけど……」


このはは台の上を眺めた。


特別な日でもないのに、どうして今日はこんなに手が込んでいるのだろう。


そんな疑問が浮かんだものの、白雨は楽しそうに料理を続けている。


「もう少しでできるから、居間で待っていておくれ」


「……分かった。楽しみにしてるね」


このははそう答えて、居間へ戻った。


しばらくして、白雨が料理を運んできた。


食卓には、いつもより品数の多い昼食が並んでいる。


「わあ……」


このはは思わず声を漏らした。


「すごいね。これ、全部作ったの?」


「もちろん。口に合うといいのだけれど」


「絶対おいしいよ。ありがとう、白雨」


このはが笑顔で答えると、白雨は満足そうに目を細めた。


二人は向かい合って座り、食事を始めた。


一口食べたこのはは、思わず顔を上げる。


「……おいしい」


「ふふ。それはよかった」


このはは料理について尋ねながら、次々と箸を進めていく。


白雨はその様子を、どこか嬉しそうに眺めていた。


「そんなに気に入ってくれたのかい?」


「うん。すごくおいしいよ」


「それなら、作った甲斐があったね」


白雨はお茶を口に運び、微笑んだ。


食事が進むにつれ、このはの表情も自然と和らいでいく。


やがて、ひと通り食べ終えたところで、このはが口を開いた。


「……そういえば、今日はなにかあったっけ?」


白雨は少しだけ首を傾げた。


「特に何かあるわけではないけれどね」


「でも、いつもより手が込んでたからさ」


白雨は少し考え、それから穏やかに答えた。


「このはに、おいしいものを食べてほしかっただけだよ」


「……そっか」


このはは一瞬だけ言葉を止めた。


特別な理由があったわけではない。


ただ、自分に喜んでほしくて、白雨は料理を作ってくれたのだ。


「……ありがとう。すごく嬉しい」


このはが素直にそう伝えると、白雨は柔らかく微笑んだ。


「どういたしまして」


食事を終え、二人で片付けを済ませる。


そのあと、縁側に並んで座り、お茶を飲んだ。


「……また、白雨の作るご飯が食べたいな」


このはが何気なく言うと、白雨は楽しそうに目を細めた。


「ふふ。いつでも作ってあげるよ」


「本当?楽しみにしてるね」


「もちろん」


白雨はそう答え、このはの隣へそっと身を寄せた。


このはは一瞬だけ白雨を見て、それから自然に肩を寄せ返した。


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