永刻時計塔
これまでの刻守の名前が出た話にルビを振るのを忘れていましたがクロノと読みます。
永刻時計塔の中へ入ると、そこには外から見た以上の広さが広がっていた。
壁には大小様々な時計が並び、あちこちから時計の針が動く音が聞こえてくる。
「……すごいな」
このはは周囲を見回す。
「これ、全部時計ですか?」
「はい」
刻守が答える。
「この塔には様々な時計を設置しております。時間を測るものから、少々特殊なものまで」
「特殊なもの?」
「ええ。例えば、あちらの時計は一日に一度だけ針が逆向きに動きます」
刻守が指差した時計を見る。
確かに、他の時計とは違って針が逆方向へ進んでいる。
「なんでそんな時計が……?」
「趣味でございます」
「趣味なんだ……」
このはが少し驚く。
白雨が横から笑う。
「刻守は昔から、そういう変わったものを集めるのが好きなんだよ」
「白雨様、そのようなことは」
「ふふ。事実だろう?」
刻守は少しだけ困ったような表情を浮かべる。
「……否定はしません」
その様子を見て、このはも思わず笑った。
しばらく歩くと、三人は広い部屋へと入った。
中央には大きな机があり、その上には書類や時計が綺麗に並べられている。
「ここが私の仕事場です」
「仕事って、具体的には何をしてるんですか?」
「この塔と、時間に関わる様々なものの管理及び監視です」
刻守は机の上の書類を整えながら答える。
「時間というものは、少し乱れるだけでも様々な場所に影響を及ぼしますから」
「そんなことまで管理してるんだ……」
「時の大妖ですから」
また同じ言葉を口にする刻守。
このはは少しだけ笑った。
「それ便利な言葉ですよね、白雨もよく言うんです」
「……そうでしょうか?」
「何を聞いても、それで説明できそうです」
刻守は一瞬だけ黙る。
そして、
「確かに便利かもしれませんね」
そう言って、珍しく少しだけ笑った。
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