時の大妖
永刻時計塔の前までやってきた二人。
近くで見ると、その大きさはさらに際立っていた。
「大きいな……」
このはが見上げる。
白雨は慣れた様子で塔を見上げている。
「中に入ろうか」
「うん」
二人が入り口へ向かう。
すると、大きな扉がゆっくりと開いた。
「お待ちしておりました」
「……え?」
このはが足を止める。
そこには、一人の男が立っていた。
整えられた服装に、片眼鏡。
手には懐中時計を持っている。
「白雨様、お久しぶりです」
「久しぶりだね、刻守」
白雨は穏やかに笑う。
「そして……」
刻守はこのはへ視線を向ける。
「あなたが、このは様ですね」
「え、あ……はい」
「初めまして。私は刻守。永刻時計塔を管理しております。時の大妖、永刻紳士とも呼ばれております。」
刻守は丁寧に頭を下げた。
「こちらこそ初めまして。このはといいます。白雨から話は聞いて、会えるのを楽しみにしていました」
「それは光栄です」
刻守は微笑む。
「遠いところからお越しいただきありがとうございます。長旅でお疲れでしょう」
「確かに少しだけ疲労が溜まってるかも…」
「それはいけません」
刻守は懐中時計を確認する。
「予定より少々到着が遅れております。まずはお二人とも、お休みになられることをおすすめします」
「……予定?」
このはが首を傾げる。
「ええ」
刻守は当然のように答える。
「お二人が本日この時間帯に到着することは、昨日のうちに把握しておりましたので」
「昨日のうちに……?」
「時の大妖ですから」
そう言って、刻守は懐中時計を閉じる。
「では、どうぞ中へ。お茶の準備もできております」
「ありがとう、刻守」
白雨が先に歩き出す。
このはもその後に続く。
そして塔の中へ入ったところで、このはは小さく呟いた。
「……なんというか」
「どうしたんだい?」
「すごく想像してた通りの時の大妖って感じかも」
白雨はくすりと笑う。
「そうだろう?」
三人は、永刻時計塔の奥へと進んでいった。
励みになりますので良ければブックマーク、評価、感想よろしくお願いします。




