到着
朝。
このはは、窓から差し込む光で目を覚ました。
「……朝か」
見慣れない木の天井を見上げて、昨日のことを思い出す。
刻守のところへ向かうために旅を始め、白雨が植物の力で作ったログハウスで一夜を過ごしたのだった。
隣を見ると、白雨はすでに起きていた。
「おはよう、このは」
「おはよう、白雨」
「よく眠れたかい?」
「うん。意外と快適だった」
「それならよかった」
白雨は小さく笑う。
二人は簡単に朝食を済ませ、ログハウスの外へ出た。
「この家、どうするの?」
このはが振り返る。
「…そうだね」
白雨が手を伸ばす。
するとログハウスを形作っていた木々や蔦が、ゆっくりと元の姿へ戻っていく。
数分もしないうちに、そこには何事もなかったかのように森が広がっていた。
「……これも戻せるんだ」
「植物から作ったものだからね」
「本当に便利だな……」
「ふふ」
二人は再び歩き始める。
昨日よりも少し先へ進む。
道中では、知らない花を見つけたり、遠くの山を眺めたりしながら、ゆっくりと歩いていった。
「刻守さんって、どんな人なんだろう」
このはがふと尋ねる。
「そうだね……」
白雨は少し考える。
「とても几帳面で、真面目な妖だよ」
「白雨は、刻守さんとも長い付き合いなんだよね?」
「もちろん。皆、長い付き合いだからね」
そう話しているうちに、二人の前に大きな建物が見えてきた。
遠くからでも分かるほど高い塔。
その頂上には、大きな時計がいくつも取り付けられている。
「……あれが?」
「ああ」
白雨が目を細める。
「永刻時計塔だよ」
「思ってたより大きいな……」
時計塔は、空へ向かってまっすぐ伸びていた。
いくつもの時計がそれぞれ違う時を刻むように動いている。
その姿を眺めながら、このはは少しだけ緊張した。
「……いよいよだね」
「そうだね」
白雨はいつもの穏やかな笑みを浮かべる。
「さて。どんな顔をするのか、楽しみだね」
二人は時計塔へ向かって歩いていく。
刻守との出会いはもうすぐそこまで迫っていた。
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