招待
夜。
夕食を終えた二人は、いつものように居間でゆっくり過ごしていた。
このはは椅子に座り、白雨はその隣で本を読んでいる。
静かな時間だった。
「今日はゆっくりできたね」
「そうだね」
そんな会話をしていた、そのとき。
「やあ、このはサマ~」
「……え?」
突然、部屋の中に声が響いた。
二人が振り向く。
そこには、黒いピエロのような衣装に身を包んだ星架が立っていた。
「星架さん!?」
「久しぶりだね~」
星架は楽しそうに笑う。
「いつになっても僕のところに遊びに来てくれないからさ~」
そう言いながら、このはへ近づいていく。
「迎えに来ちゃったよ~」
「え?」
このはが立ち上がるより早く、星架がその手を取った。
「ちょ、ちょっと待ってください!」
「大丈夫大丈夫。僕のところで楽しく遊ぶだけだから~」
「白雨!」
このはが助けを求めるように白雨を見る。
白雨もようやく状況を理解したように立ち上がった。
「星架、ちょっと……!」
「じゃあ白雨サマ、このはサマは借りていくよ~」
「え?」
「またね~」
星架が指を鳴らす。
次の瞬間。
二人の姿が、夜の闇へと溶けるように消えた。
「……」
白雨は、伸ばしかけた手を止めたまま固まっている。
あまりにも突然だった。
「……はぁ」
しばらくして、白雨は小さく息を吐いた。
「……今更星架に何を言っても無駄だね。少なくとも悪いようにはされないだろうしね」
そう呟くと、白雨は再び椅子に座った。
静かになった部屋に、時計の音だけが響いていた。
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