オーダーメイド
ツツジの屋敷に戻ると、先ほどまでいた部屋に一着の服が置かれていた。
「これが、このはくんの服よ~」
ツツジが嬉しそうに手渡す。
落ち着いた濃紺を基調とした、動きやすそうな和装。
ところどころに細かな装飾が施されているが、派手すぎない。
「すごいですね……」
このはは服を広げながら眺める。
「俺のために作ってくれたんですよね」
「もちろんよ~。白雨ちゃんが持ってきてくれた素材も使ってあるわ」
「ありがとうございます」
「うふふ。じゃあ、着てみてちょうだい」
「着替える場所とかって」
「向こうにあるわよ~」
ツツジが部屋の奥を指差す。
「行ってらっしゃい~」
このはは服を持って、奥へ向かった。
しばらくして。
「……どうですかね」
着替えを終えたこのはが戻ってくる。
「まあ!」
ツツジが嬉しそうに声を上げる。
「すごく似合ってるわ~!」
「本当ですか?」
「ええ。思った通りね~」
このはは少し照れながら、自分の袖を見る。
「いつもの服より明らかにちゃんとしてる感じがします」
「うふふ。私が作った服だもの♡」
「ツツジさん、ありがとうございます」
その隣で、白雨も静かにこのはを見ていた。
「……」
「白雨、どうかな?」
呼ばれて、白雨が小さく笑う。
「よく似合っているよ」
「そう?」
「ああ」
白雨はこのはの服を眺める。
「私が用意した素材が、こうして君の服になっていると思うと……少し嬉しいね」
「俺もすごく気に入ったよ」
このはが笑う。
「ありがとう、白雨」
「ふふ。どういたしまして」
その様子を見ていたツツジは、にこにこと二人を眺めている。
「やっぱり、二人とも仲良しね~♡」
「ツツジさん……」
このはが少し困ったように笑う。
「うふふ」
ツツジは楽しそうに笑った。
「ツツジさん、素敵な服をありがとうございました」
「うふふ。気に入ってくれてよかったわ~♡」
「はい。大切に着ますね」
「またいつでも遊びに来てちょうだいね~」
「はい。ありがとうございました」
このははツツジに頭を下げる。
「それじゃあ、そろそろ帰ろうか。ツツジ、今日はありがとう、また来るよ」
白雨がそう言うと、このはも頷いた。
「うん」
二人はツツジに見送られながら、屋敷を後にする。
帰り道。
「新しい服って、やっぱり嬉しいな」
このはが袖を軽くつまむ。
「そう言ってもらえてよかったよ」
白雨は隣を歩きながら微笑む。
「ツツジにお願いして正解だったね」
「うん。ツツジさん、本当に優しい人だった」
「そうだろう?」
「それに……」
このはは少しだけ笑う。
「ああ見えてすごく強かった」
「ふふ。あれもツツジらしさの一つさ」
そんな話をしながら、二人は白雨の森へ向かって歩いていった。
励みになりますので良ければブックマーク、評価、感想よろしくお願いします。




