↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
プラント ~大妖の森で君と暮らす~  作者: 天鵞絨色の紫陽花
テラリア大陸編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/84

服


このはは、縁側で自分の服を眺めていた。


「……ここ、結構ほつれてきてるな」


袖の端に、小さなほつれがある。


「どうしたんだい?」


隣に座っていた白雨が、このはの服へ目を向ける。


「ちょっと傷んできたみたい」


「そうだね」


白雨は袖を手に取り、ほつれた部分を眺める。


「そろそろ新しいものを用意したほうがよさそうだね」


「まだ着られるから大丈夫だよ?」


「そうだね。けれど――」


白雨が少し考える。


「せっかくだから、ちゃんと君に合ったものを作ってもらおうか」


「作ってもらう?」


「うん」


白雨は庭へ目を向ける。


「ツツジに頼んでみよう」


「ツツジ?」


このはが首を傾げる。


「ああ、まだ話していなかったね」


白雨は穏やかに笑う。


「私と同じ大妖の一人だよ」


「白雨と同じ……」


「そう。愛の大妖さ」


「愛の大妖……」


このはは少し驚いたように呟く。


「そんな大妖もいるんだ」


「いるよ。とても優しい子でね」


白雨は立ち上がる。


「それに、服を仕立てるのが上手なんだ」


「へえ……」


このはも立ち上がる。


「じゃあ、そのツツジさんに頼みに行くの?」


「そうしようか」


白雨はそう言って、庭の植物へ手を伸ばす。


すると、蔦の一部がゆっくりと伸びてくる。


白雨はその蔦を手に取り、何本かを丁寧に切り分けていく。


「これは?」


「服の素材にするんだよ」


「これで服が作れるの?」


「うん。私の力でいい感じに作ったからね」


白雨はそれをまとめる。


「ツツジなら、きっと上手に仕立ててくれるさ」


「なんだか、すごいな」


「ふふ。他でもない君のためだからね」


「……」


このはが少し照れたように目を逸らす。


「じゃあ、行こうか」


「うん」


二人は家を出る。


森を抜ける道を、並んで歩いていく。


「ツツジさんって、どんな人なの?」


「そうだね……」


白雨は少し考える。


「一言で言うなら、世話焼きかな」


「世話焼き?」


「うん。困っている子を見ると放っておけないような子だよ」


「そんな人に服を作ってもらうのもなんだか申し訳ないな」


「気にしなくていいさ」


白雨は微笑む。


「むしろ、喜んでやってくれると思うよ」


「そうなの?」


「うん。きっとね」


半日ほど歩くと、景色が少しずつ変わっていく。


緑の中に、鮮やかな色が見え始めた。


「……あれ?」


このはが足を止める。


遠くまで続く花。


赤や白、紫がかった躑躅(つつじ)が、斜面いっぱいに咲いている。


「すごい……」


白雨がその景色を眺める。


「着いたね」


「ここが……」


このはは、初めて見る庭園を見渡す。


その先に、二人を待つ大妖の気配があった。


「この先にツツジがいるよ」


白雨が静かに言った。


二人は、躑躅と桃の花が咲き誇る庭園へと足を踏み入れた。


励みになりますので良ければブックマーク、評価、感想よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。