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プラント ~大妖の森で君と暮らす~  作者: 天鵞絨色の紫陽花
テラリア大陸編

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31/84

種

予約投稿が明日になってた凡ミス…


朝。


このはは庭の隅にしゃがみ込んでいた。


「白雨、これって何?」


手のひらに乗せているのは、小さな種だった。


白雨が隣まで歩いてくる。


「それは花の種だよ」


「どんな花が咲くの?」


「育ててみれば分かるさ」


「また秘密?」


このはが少し笑う。


「秘密というほどじゃないけれどね。花が咲くまでのお楽しみかな」


「じゃあ、育ててみたい」


「うん。そうしようか」


白雨は庭の一角を指差した。


「ここなら日当たりもいい。土も柔らかいから、きっとよく育つよ」


「分かった」


このははそこへしゃがみ込み、土を掘り始める。


白雨も隣にしゃがんだ。


「もう少し深く」


「このくらい?」


「うん。それくらいで大丈夫」


種を土の中へ入れる。


その上から、二人でそっと土をかぶせていく。


「これで終わり?」


「まだだよ」


白雨が水の入った桶を持ち上げる。


「最後に水をあげよう」


「それは俺がやるよ」


「なら、お願いしようかな」


このはが桶を受け取り、ゆっくりと水をかける。


土が少しずつ濡れていく。


「……なんか、これだけなのに楽しみだな」


「ふふ。そういうものさ」


白雨は小さな土の山を眺める。


「ここから芽が出て、葉が増えていく。君が毎日見ていれば、きっと変化にも気づけるよ」


「じゃあ、毎日見に来るよ」


「毎日?」


「うん」


このはは笑う。


「せっかく白雨と一緒に植えたんだから」


白雨が少しだけ目を細める。


「……そうかい」


「白雨も見に来るでしょ?」


「もちろん」


白雨は穏やかに笑った。


「一緒に育てるんだからね」


「うん」


二人はしばらく、何もない土を眺めていた。


そこにはまだ、芽も葉もない。


それでも、このはには少しだけ先の景色が見えるような気がした。


どんな花が咲くのか。


どれくらい大きくなるのか。


それを白雨と一緒に見ていく。


「白雨」


「何かな?」


「花が咲いたら、一緒に見ような」


「……うん」


白雨は静かに頷いた。


「楽しみにしているよ」


二人は並んで立ち上がる。


まだ何もない小さな場所を、もう一度振り返る。


そして、いつものように並んで家へ戻っていった。

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