お返し
午後。
縁側で、このはと白雨は並んで庭を眺めていた。
昨日と同じように、穏やかな時間が流れている。
ふと、このはが白雨を見る。
「ねえ、白雨」
「何かな?」
「今日は白雨がしてほしいこと、ない?」
「私が?」
「うん」
白雨は少し考えるように首を傾げる。
「そうだね……」
しばらく考えたあと、白雨がこのはを見る。
「それなら、一つお願いしてもいいかい?」
「もちろん」
白雨は自分の膝を軽く叩いた。
「昨日は君がここで休んでいただろう?」
「うん」
「だから今日は――」
白雨は少しだけ笑う。
「私にも、膝枕をしてくれないかい?」
「……え?」
このはが目を丸くする。
「白雨を?」
「うん。どうかな?」
少し戸惑いながら、このはは姿勢を変える。
「……じゃあ、どうぞ」
「ふふ。ありがとう」
白雨はゆっくりと横になり、このはの膝に頭を預ける。
白い髪が、このはの膝の上に広がった。
「……どう?」
「なかなか悪くないね」
白雨は目を細める。
「思っていた以上に、落ち着くよ」
「それは良かった」
「……髪、触ってもいい?」
「もちろん」
このはは少し緊張しながら、白雨の髪に触れる。
昨日、自分がしてもらったように。
ゆっくりと白雨の髪を撫でる。
白雨は目を閉じた。
「ふふ……」
「気持ちいい?」
「うん」
少しだけ間を置いて。
「君にこうしてもらうのが、癖になりそうだ」
このはは照れながら笑う。
「昨日のお返しになったかな」
「十分すぎるくらいさ」
二人の間に、静かな時間が流れる。
しばらくして、白雨が目を閉じたまま口を開く。
「……白雨」
「ん?」
「好きなだけ、ここにいていいからね」
「......ふふ。そうさせてもらうよ」
今度は、このはがそう答えた。
白雨は小さく微笑む。
そして、そのまま静かに目を閉じた。
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