膝枕
午後。
縁側に座り、このはは庭を眺めていた。
隣では白雨が、いつものように静かに植物の手入れをしている。
しばらくすると、白雨が手を止めた。
「少し休もうか」
「ん?」
白雨は道具を置き、このはの隣に腰を下ろす。
「今日はよく動いたからね」
白雨はそう言って、少しだけ笑った。
二人で並んで庭を眺める。
風が吹き、木々の葉が静かに揺れている。
「……ねえ、このは」
「何?」
「少し、こちらへ来てくれるかい?」
「こっち?」
このはが振り向く。
白雨は自分の膝をポンポンと軽く叩いた。
「今日はここで休んでいかないかい?」
「……膝枕?」
「うん」
白雨は穏やかな顔で頷く。
「どう?嫌かな?」
「いや、そんなことないけど……」
このはは少し迷う。
以前なら、それだけでかなり緊張していたかもしれない。
けれど今は、白雨とのふれあいにも、少しずつ慣れてきていた。
「……じゃあ、少しだけ」
「ふふ。おいで」
このはは身体を横にして、白雨の膝に頭を預ける。
柔らかい。
「……なんか、落ち着くかも」
「それはよかった」
白雨は微笑みながら、このはの髪にそっと触れる。
指先で髪を梳くように、ゆっくりと撫でていく。
「……白雨」
「何かな?」
「こういうの、慣れてきたと思ってたけどこれはまだ恥ずかしいや」
「ふふ」
白雨は少し嬉しそうに目を細める。
しばらく、白雨はこのはの髪を撫で続けた。
このはは目を閉じる。
庭の風と、髪を撫でる白雨の手。
どちらも心地よかった。
「眠ってもいいからね」
「……このまま寝たら、重くない?」
「気にしなくていいよ」
白雨は優しく答える。
「君くらいなら、いくらでも支えてあげるさ」
二人とも小さく笑う。
それから少し経って。
このはは目を閉じたまま、静かに口を開いた。
「……白雨」
「もう少し、このままでもいい?」
白雨の手が、一度だけ止まる。
そして、優しくこのはの髪を撫でる。
「もちろん」
白雨は穏やかに微笑んだ。
「好きなだけ、ここにいていいよ」
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