第13話 初めての……
結局、たぬたぬのトイレは人間のトイレを使うということで決着がついた。
『ウフフ。たぬきには、ため糞という性質があるから心配は必要ありませんよ』
たぬたぬはそう言って笑っていたが、冗談じゃない。
庭にため糞場を作られたら臭くてたまらないぞ!
人間のトイレを使っても、動物の場合には詰まる可能性があるから、それはそれでどうなんだという話ではあるが。
まー、田舎の事情でクリアだな?
汲み取り式って田舎だと現役らしい。
オレは引きこもっていたから、その辺の事情はよくわかってなかったけど、ばーちゃんからトイレの使用許可が出たからオッケーとする。
「トイレは使って構わないけど、動物病院で狂犬病のワクチンをさっさと打ってきな」
ばーちゃんに言われて、オレは今、自転車を漕いでいます。
前かごには、黄色のバンダナを首に結んだたぬたぬが乗っている。
バンダナには黄色のロープが繋がっていた。
「首、苦しくないか?」
オレが聞くと、たぬたぬはコクリとうなずいて、短い前腕の右側を使ってバンダナをぽふぽふと撫でた。
『苦しくないです。それにこの黄色いの、たぬきはとても気に入りました』
「そうか。そりゃよかったな」
首輪代わりにバンダナを巻いたのは、ばーちゃんだ。
田舎とはいえ首輪やリードのない犬は嫌われるからと、どっかから持ってきた黄色のバンダナを首輪代わりに巻き付けて、そこに黄色のロープを通してリード代わりにしてくれた。
黄色のロープの端は輪っかが作ってあって、ちゃんと持てるようになっている。
「病院での診察が終わったら、ちゃんとした首輪とリードを買ってやるからな」
『たぬたぬは、これでよいのに。……というか、これがよいのに』
「お前がよくても周りの人が気にすんだよ。似たの買ってやるから、わがまま言わないの」
『ん……でもたぬたぬはぁ~、これが好きですぅ~』
「ハイハイ。分かったって」
たぬたぬは首へ巻かれたバンダナに気を取られている。
そのまま気を取られていてくれ。
お前はこれから、動物病院へ行って、チックンされんだからさー。




