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たぬきはもうお終いです ~ 祠を壊したら、あやかしたぬきの世話係に任命されてしまいました  作者: 天田 れおぽん @初書籍発売中


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12/19

第12話 修司の部屋はたぬたぬの部屋でもある

 オレは、ご機嫌なたぬたぬを小脇に抱えて自室へ向かった。

 

 たぬたぬは胴体を抱えられて安心しているのか、前足と後ろ足がピョコピョコと踊るように動いている。

 

 建物と建物を繋ぐ廊下は開放的だ。

 

 屋根は付いているが足元には平らな木の板が続くだけの廊下は、学校の渡り廊下の木製版みたいな感じ。

 建物沿いの廊下には雨戸があるが、建物と建物を繋ぐ廊下のほうにはそれすらない。

 

 吹きっさらしだ。


 寒い日には部屋から部屋への移動にコートが要るし、雨が降ると合羽が必要になるが、今夜はそのどちらも必要ない。

 空にはおぼろに蕩ける満月が大きく上っているから、明かりも別に必要ない。


 しかもオレの小脇にはもふもふがいるから、少しも寒くないわ。

 

 とても快適だ。


 オレは、小さなガラスと障子が張られた心もとない木枠の扉を開けた。


『ここが修司の部屋?』


 たぬたぬは、首をかしげて修司を見上げながら聞いた。

 

「そうだ。今日からお前もここで暮らすんだぞ、たぬたぬ」


 たぬたぬは興味深げに室内をキョロキョロと見まわしている。


 見まわしたところで何もない。


 畳敷きの部屋には、押し入れと畳に座って使うタイプの小さな机があるだけだ。


 押し入れなんて扉を閉めたら壁みたいなもんだから、実質は小さな机が部屋の隅にポツンとあるだけだ。


 なまじ部屋が十畳くらいあるから、殺風景さが増している。


 布団を敷いて寝ているから、ベッドすらない。


 万年床状態だった布団も散歩に行っている間に干してくれたのか、なんだかフカフカしていた。


『わぁい。ふかふか~』


 オレの脇からポテッと落ちたたぬたぬが、布団の上を泳いでいる。


「おい、こら。布団が毛だらけになるっ」


 しつけの悪いあやかしだな。


 いや、あやかしにしつけ?


 オレが自分の感想に自分で突っ込みを入れている間に、ぷぅっという軽やかな音が響いた。


「おまっ……」

『失礼』


 このたぬき、屁をこきやがった。


 ぷぅ~んと匂いが漂ってきて、オレはハッとなる。


「お前っ。排泄のほうはどうなってるんだ?」

『排泄?』


 たぬきのあやかしは呑気に首をかしげてオレを見上げた。


「ウンコとかオシッコとかのことだよっ」

『たぬたぬは、あやかしですから……』


 そうだよ。

 あやかしだから腹が減らないとか言ってたから油断したけど。

 

「さっき芋とかタケノコとか色々と食っただろ?」

『……あっ』


 たぬたぬは小さな声を上げると、ぶぅ~と長くて小さな音のする屁をこいた。


「うわっ、くさっ。……てか、これは本体出る匂いっ!」

『ふふふ。そうかもしれません』


 オレはたぬたぬの体を抱えると、慌てて外へ向かって駆け出した。



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