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僕たちの通る道には花が咲く  作者: 石田侑士


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11/13

戦おうよ!

 「一緒に?俺が?」

「うん……」

アリアは少し戸惑っていた。

「あ、もしかして報酬とか気にしてる……?」

「いや、全然そんなのはいらない……ただ俺でいいのかなって」

少し自信なさげに言った。

「どういうこと?」

「いや、ほら、だって咲舞って力も習得したばっかりだし、戦い方もまだ曖昧だし」

リランはアリアに詰め寄った。

「それでも!あなたには……なぜかはわからないけど……期待してしまう部分がある……何かやってくれるんじゃないかとか、さっきのラビダイルの時もそうだった……」

アリアの肩を強く握りしめる。

「いだだだだだだ!」

「あの時も、あなたの力のおかげで命の危機を脱することができた……。こんなことを目の前で経験して、あなたのことを誘わないと思う?」

アリアはリランの口車に乗せられ、少し良い気になっていた。

「わかりやすいくらい顔がニヤけてるぞ」

クワガタはアリアの表情を見て呆れていた。

「クワガタ……起きてたのか」

「あぁ……話は全部聞いたよ。あの日、突然人間たちが豹変して襲いかかってきたのにはそんな理由があったんだな」

リランは大きく頷いた。

「だったら俺も一緒に戦いたい。こんな生活も嫌だ!毎日のように誰かが殺されるのなんてもう見たくない!」

「ほんと!」

「さすが俺を救ってくれた男。言うことが違う」

アリアは自慢げに語った。

「ところでリラン。お前戦うって言ってたけどどうするつもりなんだ?二人で攻め込むつもりか?」

「…………」

図星を突かれ、黙り込んでしまった。

「何も考えてなかったのか」

「へへ……」

クワガタはため息をついた。

「いいか?リランはポケの人間とはいえ、ほぼ街の全員が敵みたいなもんだ。それはポーハイに入っても同じ、おそらく兵士たちに止められるだろう」

二人はうんうんと頷いた。

「一応確認なんだが、襲ってきた兵士はぶっ飛ばしていいのか?」

「もちろん!」

リランはグーサインを出した。

「だったら話は早い。お前たちはここで戦いの準備していてくれ」

「え?」

「クワガタはどうすんだ?逃げんのか?」

「こんな話をして逃げるわけないだろ」

アリアは頭をグーで殴られた。

「戦える人数は多い方がいい。俺が他のポカ属に事情を説明して同士を募ろうと思う」

「おぉ!」

リランとアリアは顔を見合わせた。

「詳しいことはまた後で説明する。とにかくお前らは戦いの準備を!」

「わかった!」

クワガタは家を飛び出していった。


ーープロテア中心部。

「みんなー!聞こえるかー!」

クワガタの叫び声に住民たちがゾロゾロと玄関先から顔を出す。

「話したいことがある!今すぐ町の集会所に集まってくれー!」

「いったいなんだってんだい!」

住民たちは文句を言いながらも、集会所へと向かっていった。


ーー集会所内。

「全員集まったか?」

「まぁ大体は。それで一体なんなんだい!急に町で叫び出して!こういう集合はもっと事前に……」

「ごめんみんな!でもどうしても話さなきゃいけないことがあったんだ!」

クワガタはリランから聞いた全ての真相を住民たちへ事細かく説明した。

ダリア国王を殺したのはポカ属ではないこと、自分たちが仕入れた食料に毒が盛られていたこと、人間たちは騙されているということ、犯人は国王とその側近だということ、そして今、その犯人たちと戦おうとしてくれている二人の戦士がいるということ。

クワガタは住民たちに必死に訴えた。

「少なくとも今戦おうとしてくれてるリランという人間は、俺たちポカ属との共存を望んでいる!」

住民たちのほとんどが俯いている。

「そりゃあの時は俺もなんでって思ったさ!今まで仲良くしてきた奴らが突然、豹変して俺たちを襲ってきたんだ」

住民の一人が声を上げる。

「その……リランって人は知ってる……優秀なって有名だった。でもその人でも敵わなかったんでしょ?なら私たちなんてなおさら……」

住民たちは何度も頷いた。

「みんな……」

「それに……余計なことしなければ殺されないし……」

「そうそう。ポーハイの子供の遊び相手になって、飯食って寝る。気は使うけど機嫌さえ損なわなければねぇ……」

ガシャーン……

クワガタ目の前にあった机を思い切り蹴り飛ばした。

「クワガタ……」

「ふー……ふー……」

「何よ……急にどうしたの?」

「お前ら……本気でそんなこと言ってんのかよ……ふざけんなぁ!」

クワガタは大声を上げて叫んだ。

「そんな日常送って楽しいのかよ……余計なことさえしなければ?機嫌さえ損なわなければ?お前ら理不尽に殺されていく仲間を見てたんじゃねぇのかよ!」

目の前で殺されていく同属たち。カブトムシの時もそう、カマキリの時もそうだった。いろんな仲間が殺されていくのを見て、酷いとか最低とかそんな感情は確かにあった。でも、いつしか心のどこかで自分にさえこの悲劇が降りかかってこなければいい。そんなふうに思うことの方が増えていった。わかってるはずなんだ。こんな生活もう嫌だって。常に死と隣り合わせの生活なんてもうしたくない。わかってる……わかってるけど……

「今、この国のために戦おうとしてくれている奴はリランの他にアリアってやつがいる。そいつはこの国の人間じゃないんだ!でも……この国の惨劇を知って、一緒に戦ってくれると言ってくれた!この国に住む俺たちが動かないでどうするんだ!」

「で、でもその子だって敵うかどうか……」

まだ言うか……でも俺も、これ以上こいつらにかける言葉が見つからない。何かが足りない……決定的な何か……住民を勇気づけられる何かが……。

その時だった。

ドカーン!

クワガタの家の方向からとてつもなく大きな爆発音が響いてきた。

「なんだ?!」

住民たちは集会所を出て様子を見に行った。

少し離れたところで戦塵が垂直に立ち上っていた。


ーー少し時を遡る。

「なぁリラン、戦いの準備って何すんだ?」

「えぇ……準備体操とか?」

「そうなのか?」

じゃあと言ってアリアは立ち上がり、ストレッチを始めた。

ドーン!

ガシャーン!

外からは何かが壊れる音が聞こえてきた。

「なんだなんだ?」

リランとアリアは小窓から外の様子を覗いていた。

外では一人の男が叫びながら次々と民家を破壊している。

「出てこい!リラン!」

「あれは……クディア!」

「あ!そいつ悪いやつじゃねぇか?!」

「そう……私たちを追って来たんだ」

「そうか!じゃあ話が早い!」

「え?!ちょっとアリア?!」

アリアは家を飛び出した。

「おい!お前!この町を壊すなよ!」

「あ?なんだお前」

リランはその様子を見て頭を抱えていた。

「あの子は後先考えずに……でもしょうがないもうやるしかない!」

その後を追い、リランも家から飛び出していった。

「お、みーっけた。探したぜリラン。国王様がお呼びだ」

「黙れ」

リランは冷たく返した。

「なんだよやる気か?」

「やらなきゃやられるだろ!」

リランは思い切り地面を踏み込み、クディアに襲いかかった。

「相変わらず単純な攻撃だなぁ」

クディアはリランの攻撃を簡単に避け、上空へと蹴り上げた。

「がはっ……」

「そんな空中に浮いて……俺の技が避けれんのか?!」

クディアは空中に向かって人差し指を差した。

すると、地面から大きな針が顔を出した。

「いけぇ!」

その針は一直線にリランの元へと飛んでいく。

「炎盾(えんじゅん)!」

リランは炎の盾を繰り出す。

「そんな盾意味あんのか?!」

リランの盾とクディアの針がぶつかる。

大きな火花を散らしているが徐々に針がリランを押していく。

「くっ……!」

「そのまま貫けぇ!」

針はさらに勢いを増す。

「針花(はりばな)!」

「あっ!」

リランは空中で針を食らい、そのまま地面へと落ちてくる。

「リラン!」

「そのまま落下させるなんて面白くねぇ。まだいくぜ!」

「させるかよ!」

今度はアリアがクディアに向かっていく。

「なんだよ……お前も同じ目に会いたいのか?」

「桜竹林《おうちくりん》!」

地面から桜色の竹が次々と生え、クディアの行動を妨げる。

「アリア、ナイス!そのまま耐えて!」

「炎花一輪!」

リランの大技はクディアにクリティカルヒットする。

「おぁっ……!」

クディアはそのまま近くにあった民家に突っ込んでいった。

「あーあ。民家壊した」

「しょうがないでしょ!こんなところで戦うなんて思ってもなかったし、そもそもあんたが勝手に飛び出していくからでしょ!」

「なんだよ!俺のせいか?!」

「おいおい……お前……桜の能力か……ずいぶんと珍しいもん持ってんじゃねぇか」

クディアがゆっくりと立ち上がる。

「今のはちょっと効いたぜ……」

そう言い、口の中に溜まった血を吐き出す。

「今度はこっちから行かせてもらうぜ……」

「ん?!なんだ?!」

「何どうしたの?!」

アリアはその場で体を動かそうとするも、びくともしない

「体が動かん!」

「そういえば……私も」

「ははっ……」

「あいつの能力か……」

「待針(まちばり)」

動けないアリアにゆっくりと近づくクディア。

「それじゃ喰らってもらうぜ……」

クディアは右手の拳を握り構える。

「和花針乱(わかばしんらん)!」

五本の針がアリアの腹部へと突き刺さる。

「うわぁぁ!」

アリアは勢いよく吹き飛んだ。

「もう一発!」

その後を追うように、クディアはアリアの元へと飛んでいく。

「ボケッとすんなよ!」

「うわ!」

クディアの技が立て続けにアリアを襲う。

「いい加減に……しろ!」

アリアはクディアを蹴り飛ばした。

「はぁ……はぁ……」

クディアから喰らったダメージが大きく、その場からなかなか立ち上がることができない。

「アリア!」

リランの叫ぶ声が聞こえ、なんとか体を起こす。

「危ない!後ろ!」

振り返ると、針を振り上げているクディアの姿があった。

ドカーン!

「危ねぇ!」

アリアは間一髪でかわした。

「なんだあの針!爆発したぞ!」

その場所からは戦塵が垂直に立ち上っていた。


ーー時は戻り、集会所。

「誰が何をしてるんだ……?」

住民たちは心配そうに戦塵を見つめていた。

「クワガタ?!」

クワガタは突然走り出した。

「様子を見てくる!多分もう戦士たちは戦ってるんだ!」


ーーリラン&アリアVSクディア

「よく避けたな」

「助かった。ありがとう」

アリアはリランの体に刺さった待針を抜いていく。

「ねぇ、アリア。何か手はない?」

「え?」

「何か作戦考えてよ」

「は?」

「お願い」

リランは手を合わせ、ウインクした。

「人任せかよ!」

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