(八)神託が降りる場所
◆ (十五)神託が降りる場所
夜、白倉村の白い石倉には明かりが灯っていた。
低い場所にあった荷は移されている。
薬草の包みは棚の上。
麦袋は木組みの台へ載せられた。
川岸には水位杭が立っている。
白布は濁った水に揺れていた。
子川の一つは、細く音を立てて流れている。
村人たちは交代で川と倉を見ることになった。
連絡係は、翌朝カランタへ向かう。
水祓いは前倒しされた。
ギルドの荷移動依頼も発行された。
白倉村は、小さな村だった。
名前も変わっていない。
消えてもいない。
ただ、町の現在から遠くなっていた。
呼ばれし村。
呼ばれぬまま残る。
理人は、その一節をもう一度思い出した。
神託が未来を当てたのかは分からない。
白倉村を名指ししていたのかも分からない。
だが、見えていないものを見ろという条件は残っていた。
数えられていないものを数える。
届いていないものを確認する。
過去の側へ押しやられたものを、現在の記録へ戻す。
理人は、エルネストから渡された同行依頼を見た。
中央神殿。
地下。
神託が降りる場所。
そこに何があるのか、理人は知らない。
エルネストも、すべてを知っているわけではないのかもしれない。
だが、扉はある。
その先に、祈りだけでは説明できない何かがある。
翌朝、理人は白倉村からカランタへ戻る。
その後、中央神殿へ向かう。
招かれたのか。
呼び出されたのか。
それとも、穏やかな言葉で連れていかれるのか。
まだ分からない。
同行依頼には、中央神殿の印が押されている。
理人が紙をたたむと、隣にいたリナが尋ねた。
「地下に行くの、怖くない?」
「怖い」
理人は答えた。
「でも、行くんだね」
「見ないまま考えても、分からないからな」
リナは、少しだけ笑った。
「理人らしいね」
理人は白い石倉の外へ出た。
川はまだ濁っている。
空の遠くで、低い雷が鳴った。
エルネストが、倉の前で待っていた。
「準備が整い次第、中央へ向かいます」
「分かりました」
理人は答えた。
エルネストは、一度だけ周囲を確認する。
それから、理人へ言った。
「あなたには、神託が降りる場所を見てもらいたい」
「はい」
「それは、中央神殿の地下にあります」
◆ (十六)ログ
ログ
未到達警告:現地照合
注意漏れ:確認
緊急対応:発行
注記:
神託経路への外部接続要求を検出。
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※ネタバレ範囲にご注意ください。
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